私に、君に、幸あれ。
「コロモンしんか……! ――アグモン!」

「ヤーモンしんか……! ――インプモン!」

「ピョコモンしんか……! ――ピヨモン!」

「モチモンしんか……! ――テントモン!」

「ツノモンしんか……! ――ガブモン!」

「トコモンしんか……! ――パタモン!」

「プカモンしんか……! ――ゴマモン!」

「タネモンしんか……! ――パルモン!」


 虹色の光に包まれた彼らの姿は大きく変わった。

「みんな行くぞぉ!」

 コロモンが姿を変えた黄色い小さな恐竜、アグモンを筆頭にクワガーモンへ飛び込んでいく彼ら。しかし、身体の大きさはまだクワガーモンのほうが大きい。吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる。若葉は息を呑むが彼らはすぐに立ち上がった。

「これくらい大丈夫!」
「"ポイズンアイビー"!」

 飛ぼうとしたクワガーモンの足に蔦を絡めてつけ、タネモンが姿を変えたパルモンが押さえつける。

「"エアーショット"!」

 トコモンが姿を変えたパタモンは空気弾をクワガーモンの顔に当てる。

「"プチサンダー!」

 モチモンが姿を変えたテントモンは電撃を放つ。その攻撃によろけたクワガーモンの片足にプカモンが姿を変えたゴマモンが転がり込むことで片膝をつけさせた。

「皆離れろ! "ベビーフレイム"!」
「"プチファイアー"!」
「"ナイト・オブ・ファイアー"!」
「"マジカルファイアー"!」

 アグモンとツノモンが姿を変えたツノモン、ピョコモンが姿を変えたピヨモン、そしてヤーモンが姿を変えたインプモンの放った四つの炎の攻撃がクワガーモンの頭部を燃やす。クワガーモンは叫び声をあげている。

「よし、もう一度だ!」

 全員が同時に攻撃を放つ。今度は先程よりも大きく炎があがった。クワガーモンは背中から倒れていき森の中へと消えていった。
 若葉たちは唖然と彼らを見つめていた。あの、強いクワガーモンに勝ってしまった。

「やった……」

 彼ら、デジタルモンスターはそれぞれのパートナーに駆け寄り、賞賛を受ける。その中、若葉はこちらに近寄らずに、腕を組んでそっぽを向いている彼に近づいた。

「ええ、と……いんぷもん?」
「! な、なんだよ!」

 合ってたかな? ちょっと不安だったんだけど。

「ありがと、助かっちゃった」
「ふん、あんなヤツ俺だけで十分だったけどな!」

 うん、性格は大して変わっていないようだ。

「ほっぺ、赤いね」
「なっ!!」

 ぼわ、とさらに赤みが増すインプモン。ヤーモンの時は茶色だったが、インプモンの頬は真っ白である。うるせえ、とインプモンは背を向けてしまった。
 デジタルモンスターたちと子供たちが笑い合っていると、ガサリと木が揺れ、森から赤い鋏がみえた。

「太一!」

 それは先程のクワガーモンのである。真っ先に気付いた空が、クワガーモンの一番近かった太一を呼び、危機を知らせる。
 そのクワガーモンは這うようにして若葉たちのところへ来ると地面に角を突き刺した。すると、みるみるひびが広がっていき、崖が崩れ、若葉たちは宙へ放り出されたのであった。

「「「うぁああああ!!!」」」

 若葉たちはデジタルモンスターたちと共に落ちていく。
 そう、それが八人の子供たちのとても長くて、とても短い夏休みの始まりだった。


漂流 冒険の島!

2017/08/05


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