第1話 雲雀妹、初めまして。

「なんで俺がランボを公園に連れていかなきゃいけないんだよー……」

 沢田綱吉がはぁと大きなため息をついた。

「ツナー! まずはブランコ!!」

 それはもちろん、このボンバーヘッドに角を差し込み、ホルスタイン柄(尻尾付き)の全身タイツに身を包んだ男の子、ランボのせいである。

「勝手に遊んで来いよランボ……。俺ベンチに座ってるから」
「なんだよ、バカツナーっ! べー!」

 ランボは一人でブランコの方へ駆け出した。

「せっかくの日曜日……家でゴロゴロして過ごしたかったのに」

 ツナがもう一度大きくため息をついて空を見ていると、

「ぐぴゃ!!」
「!? ランボ!!?」

 慌てて顔をランボの方に向ければ、地面に倒れているランボと滑り台の上からそのランボを見下ろしている黒髪の小さい女の子。クロネコのショルダーバックが下げられている。おそらくランボと同い年くらいだろう。しかし、その女の子の手にはその歳には似合わない血がべっとりとこびり付いた十手が握られていた。

「えーっ!! 誰君ィィィイ!!!」
「? 何、あなた。ランボの知り合い? ていうか、その髪すごいね。顔と同じくらいあるんじゃない?」
「初対面の子に真顔でバカにされたー!! ってそうじゃなくて! 君こそランボの知り合い!?」
「知り合い? こんなバカなボンバーヘッドと? こんなバカなホルスタインと? そんなわけないでしょ。よくてぼくの下僕の下僕の下僕ぐらいの立場だよ」
「その歳でまさかの下僕持ちーっ!? ランボの立場低ッ!!」

 転がっているランボがのそりと立ち上がった。そして、眼に大量の涙を溜めながら女の子を睨みあげている。

「うっ……が・ま・ん……ちね! 雪子!!」
「あ、バカ!!」

 ランボは手榴弾を雪子と呼ばれた女の子に投げた。
 カンッと甲高い音と共にもう一度弧を描き、ランボに向かって落下して行く。雪子がいとも容易く十手で弾き返したのだ。

ドガァァァアアアン!!!!!

「ぐぴゃぁ!!!」
「ゴミくずが」
「辛辣ー!! しかもめっちゃ強ェ!!」

 今度こそランボは気絶してしまったようだ。雪子は鼻で笑うとクロネコのショルダーバックからピンク色で赤いチューリップの刺繍の入ったハンカチを取り出すと十手についていた血を拭った。

「ちゃおっス」
「?」
「り、リボーン!」

 そんな雪子の隣に現れたのは、とんでもないことばかりを要求してくるツナの家庭教師、リボーンである。


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