「ねぇねぇカヅサ」
「ん?あれ、珍しいね、ナマエから研究所にわざわざ足を運んでくるなんて」
「まぁね。それでさ、いきなりだけど女体化できる薬とかない?」
「あるわけないじゃないか。あったらボクが一番に使ってるよ」
「クラちゃんに?」
「言わなくてもわかるでしょ。で、なんでそんなものがあるか聞いてきたんだい?」
「えーと、今度の魔導院祭で使おうと思って」
「やめなさい。クラサメ君はもちろん、男という男どもに殺されるよ」
「やっぱり殺されちゃうかな?あ、じゃあ女装とかは?」
「進んでやりたいなんていう男がいると思うのかい?」
「うーん……そっかあ」
「あぁそうだ。ナマエの組は何やるかもう決まった?」
「え?クラちゃんから聞いてない?」
「クラサメ君に聞いても教えてくれなくてさ……」
「カヅサ……相変わらずクラちゃんに煙たがられてるんだね……」
「キミに言われたくないけどね」
「確かに」
「で?何するんだい?」
「んー、喫茶店」
「へぇ、普通だね」
「普通で悪かったね。私は女装喫茶とか男装喫茶とかが良かったんだけど」
「あー、だから女体化薬ね……女体化はともかく女装でいいじゃないか」
「やるなら徹底的にやりたいと思わない?」
「…徹底的にやりたいと思うのなら、課題やテストのときも徹底的にやりなさい」
「それとこれとは別ですぅ」
「全く……誰に似たんだか」
「いやあんたでしょ」
「ここにいたか、ナマエ」
「うわ、出たー!」
「クラサメ君?ナマエを探していたのかい?」
「あぁ。掃除をサボってどこにいるかと思えば……全く誰に似たんだか」
「カヅサです」
「えぇ?ボクは掃除サボったことなんてないけどなぁ」
「サボったことはないが、押し付けたことはあるだろ」
「…クラちゃんに押し付けたのか」
「覚えてないなぁ、そんなこと」
「はぁ…まぁいい。とにかくお前は戻れ。ナインが怒ってるぞ」
「あちゃー。まぁご飯でも奢れば機嫌直るからいいけどねー」
「ナイン君か……ナマエ、今度ナイン君をここに連れてきて」
「カヅサ」
「うっ……はぁ、わかった、わかったから睨み付けないでよ」
「(いいなぁナイン…羨ましい)ねぇねぇクラちゃん、もし私がカヅサに連れてきてほしいって言われたら今のように止めてくれる?」
「喜んで差し出す」
「…………」
「クラサメ君に煙たがられて可哀想に」
「あんたに言われたくないわ!」
「(血は繋がっていないとはいえ、育ての親がこんなんだから似たんだろうな)」