07
「――…ここは18世紀、ベルサイユだ」
「…18世紀……?」
「――…そして、私の名はオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ―…」
あぁ、やっぱり…。
あなたなのね―…
白いばら………。
「…あたし…あたしの名前はなまえ……」
「なまえ…か」
オスカルに名前を呼ばれた。
ただそれだけなのに。
こんなに嬉しくて、
こんなに切ない。
オスカルはスッと立ち上がり、あたしに手を差し伸べてくれた。
「…なまえ、立てるか?」
「はい」
そっと、オスカルの綺麗な手に自分の手を重ねた。
あなたと私は出逢うはずはなかった…
悲しいまでに美しく
強く
儚げな
白いばら――……
―…オスカル……
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