06
あたしは、その人をじっと見つめた。
ジェンヌさんの名前?だよね?オスカルの…
でも、なんで、オスカルジェンヌさんの名前?
「……あ、あの…」
あたしが声を掛けると、ジェンヌさんの名前は、ハッと目を見開き、ツカツカと近づいてきた。
「…貴様っ、何者だ?今のはいったいなんだ!どこから入ってきたのだ!」
その人はあたしに剣を突き付けると一気にまくしたてた。
ジェンヌさんの名前なのにっ…ジェンヌさんの名前じゃないっ!!?
「あっ……あたしはっ」
あたしは……、なんでここにいるの………?
「………わかりません」
「なに?」
「――…あたしは…多分この世界の人間ではないんです…」
剣を突き付けるその人をキッと見上げて呟いた。
「―――……っ!」
その人が驚き、戸惑う顔がだんだん霞んでいく。
あぁ―…泣いているからか
あたしがそのまま俯くと、突き付けられていた剣がなくなって、代わりに目の前にはその人がいた。
「―――……泣くな…」
その、あまりにも優しい声音にあたしは顔を上げた。
「―…泣かないでくれ…何故かは分からないが、お前に泣かれると――…っ」
――……あぁ、この人といると…温かい。
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