10
広い部屋に入ると、なかにはたくさんの人がいた。
ルイ16世と、あと、名前分からないけど、いっぱい。
しかも、みんな宝塚の人、あたしが毎日見ていたあのビデオと同じ配役…。
何故だろうと思案を巡らせていると、オスカルがあたしの背中に手を添えた。
「…―その者はだれなのだ?ずいぶんと変わった風貌だが?」
ルイ16世があたしを見てのんびりと言った。
「はっ、国王さま…異世界からやってきた者でございます」
オスカル…なんてストレートな――…
それは、あたしを信じてくれたから?
「近衛隊長っ!?何を言っているのだ!?」
あれは、たしか将軍さんだ。他の人たちも驚愕している。
真面目なオスカルが冗談言うわけないしね。
「オスカルよ…それは、まことなの、か?」
「はい、陛下……、この者はベルサイユ宮殿の庭に突然現れ、そこを私が保護いたしました」
部屋中がざわめく。
全員の刺すような視線があたしに集まっていて、居心地は最悪だ。
「ふんっ…馬鹿馬鹿しい、オスカル隊長、頭でも打ったのか?」
うわっ…うっざ
オスカルは悪くないのに、あたしのせいで…。
悔しい――…。
- 10 -
[*前] | [次#]
ページ: