立体


虫みたい、そう思った。
嫌われて嫌われてそれなのにそれに気付かないように生きていける。痛覚が無いみたいで羨ましい。(僕だったらもう死んでしまうんじゃないかってくらいにこの人の立ち位置はひどいものだと思っている。)


「臨也さんは中々死にませんね、虫みたいで静雄さんの言うことも分かります」
「全く嬉しくないね」

どういう意味か分からない。こちらを見向きもせずただ声を吐き出す。いつだってそうだどこを見てるのかも分からないと思えばただ画面と向き合って、ただ紙と向き合って、かと思えば馬鹿のように目を合わせる。そういう時はもしかしたら一人の寂しさにふと気付いたときかもしれない。

「今はまだ分からなくていいです」
(のみむし臨也さん)

相槌もない。世界でひとり、あなただけで寂しくないんですかと尋ねてみる。そうやって生きてきたから。臨也さんが言った、やはりこちらは見なかった。まだ寂しいその時ではないのだろう、しきりに指でキーを叩いている。それと同時に無力をもぎ取られた気がして僕も虫になれたらなぁとか不毛を思ってしまった。虫に痛覚はないらしいので。限りない脳内のアイデアから引き出した結果がこれ、要するに僕の存在もこの彼、に対する慈愛も不毛だと分かってしまった。ならば、ということで?


「死にませんか、一緒に。」
(心中希望欄に名前入れてくれたらな、とかまたこれも不毛だと言うんでしょうけど)




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