ビニール


夢見がちも大概に
認めないのが常でして。僕より少しばかり小さな黒は相変わらず暖かくない、でも血管が動く。びくびくと青めいた管は見ろとばかりに誇張して露見、見たいはずの赤は届かなくって死にたいとか思わない?そう聞いた臨也の顔に筋張った絆創膏が一枚あるのは大方いつもの彼のせいと思ったよね、珍しいことに自分が原因。

「あっちに見合うには殺すにはまず俺が分かんないとって思っちゃって、」眉を寄せてから口を縛って、ぼすんとソファに落ちる。「でもそうしたらもっと分かんなくなって」考えも巡んないらしい。ベランダまで歩いていった臨也の見せつけの足と首と顔が青くなる。器用に座っていくまでを見るだけでして。

じゃあそれならって「おやすみ、」諦めるしかないじゃない?血管なんかと比べものにならない青が窓越しに落ちていった


下を見るなんて下衆な真似はしない、ベランダへ出たのは愛するセルティの音を待つ為だ、早く帰ってこないかなあ。「君はね」馬が鳴く音は頭蓋骨に響く、それが心地いいくらいなんだ体も何も「戻ってくるよ」全てがもう、セルティという存在に侵された僕に「戻ってくる」最後まで他に愛する存在は出来ないなんて盲目的な愛を愛のかたちを貫いたはずの僕を俺を私を壊していった君が


「死ぬわけないんだ」

目が水にまみれる自分を想像すればなんてくさい光景だと思ってしまう。眼鏡がゴーグルだったなら着けるのが下手くそな子供みたいに、溜まっちゃってんだろう。色無しの風が吹く。寒い。臨也もきっと寒いだろうから膝掛けとマフラーと箱を持って鍵を開ける。少しだけ待ってて、すぐ降りるから、鳥肌を立てる君はきっと面白い。僕を待つ君を探しに行く。
(少しでいいから)
認めないのも常でして。





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