空圧


むやみやたらと色付けて何が嬉しいんだって6回目の半ば諦めきった問い掛けに同調して今日も夜は窒息する。それと同じで膨張して空気いっぱい含んでて、なんだかもう分からない。あるから死にそうなのか無いから死にそうなのか。

「冷たくねえの」「何が」
「ソファ」「まあ、革だし」
横たわってうなだれて、上から覗く金が光を遮る。やっぱりこれは嫌い。でも答えはいつもの「どうでもいいだろ髪くらい」。どうでもよくないから言ってんだけど理解しろよ。
「死にそう」「誰が」
「お前」「殺さないで」
返事をすることすらだるい。重い。面倒になって口数はどんどん減ってく。(減るのがそれだけならいいけど)革は変わらず重い。空気を吸いきって冷たさだけ残る。死体と一緒、あーだから死にそうなんて言うわけか。


「……寝れないんですけど」「座ったっていいだろうが」「向こう行けばいいじゃん」
目をつぶっていよいよ眠りに入るか入らないか、そこで下腹部に生ぬるいものを感じたもんだから不快でつっぱねる。くそ、寝るつもり?邪魔だっていうのに聞いちゃいない。君がいるから俺は死ねないんだ

「窒息死も膨圧死もごめんだよ」


死ぬ気が無くて結構、なんて言うけどねぇ。そもそも死ぬなんて言ってないし。文句を言おうとした矢先に寝やがった。ほんと意味分かんない。何がしたいの?死にそうだとかなんとか、お前より先に死ぬ訳ないっていうのに。


(でもシズちゃんの上で腹上死、それならちょっといいかもなんて、思ったりしてない)




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