負の連載

「…というわけ。」
麗空は箸でテーブルの真ん中の肉団子をつついた。

テーブルの上は色とりどりの料理がずらりと並んでいる。
そしてそのテーブルの周りには5人の男女。

テレビの上のテレビは7時30分を指している。


ここは綾瀬祭の家。
そして本日入学したばかりの双子の家でもある。

「麗ちゃんなんで、その被害者が死んでるのにその事件の内容を知ってるのさ。」
この5人の中で一人だけ真っ黒で独特のカットの髪の少年『綾瀬響』が疑いの目を向けた。

「犯行現場にいつも絵が飾ってあるの。
いつも右側はそのピエロ。左側は猫やら犬やら子供やら。
そのピエロはね、"虐殺された生き物と全く同じように殺す"の。」
言い終わったあと小鳥がひょっこりとキッチンから出てきた。

「それは怖いね…」
小鳥の手には美味しそうなマリネが乗っている。

それを見た茶髪の少年『綾瀬奏』が苦笑いした。
「うわ。なんかごめんね。」
小鳥の料理を見ていっている。
「いや気にしないで、私たちがかなちゃんの料理当番の時に押し掛けたんだから。」

奏はそれを聞くなり、スーッと祭を見る。
(なんで今日誘うんだ!)
奏の目はそう言っている。祭は目をそらした。

「なんだろね。
仕返し…というよりも、怒りかな…」
小鳥はイカのマリネをテーブルに置いてから席につく。
「正直、被害者。天罰喰らってるみたいだな。」
響が少し目を大きくして呟く。
「もしかしたら、そのピエロ。今回の被害者の被害者だったのかもよ〜。」
麗空がニンマリと笑った。

「ちょっ!なっ…!」
それを聞くなり祭はかなり動揺している。
祭はその手の話に弱いのだ。

「なんかもうそれでも納得できるわ。」
奏が少しイライラしながら目を瞑った。
正直被害者が許せないのだろう。

そして目を開けたかと思うと、
「依頼はそのピエロを殺すことなんだろ。
正直気乗りしないんだよ。」
とボソッと呟いた。

「奏…。」
響が心配した様子で尋ねると、
「いや、ちゃんと仕事はするつもりだよ。
でもさ、俺たちもそうなるのかな…って。」
響には、奏が何を言っているのか一瞬でわかった。

「今はやめよ。」
奏は殺しの負の連鎖を心配しているのだ。
殺しは殺しを生む。

その負にどっぷりと浸かってしまっているのが自分たちだから。

「いつから動きだすの?」
奏は無理矢理話題の方向をずらした。
すると麗空が
「あたしが次の現場を割り当てるから。
きっとまた東京で起こるよ。」









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