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3.

「なりません!」

このままカジノに案内してくれるなら万々歳だが、生憎真面目な執事としては反対しなければならない。怒ったような怯えているような表情をして二人を軽く睨み、譲らない雰囲気で腕を組んだ。

「賭博なんて違法行為です!」

「頭硬ぇな。端金なんだからいいだろ」

金額に関わらず賭博は違法なのだが、ここで言い負かされないと全てが水の泡になるんだから、グッと唇を噛み締めてみせた。

子猫でも相手をするように慧が悠然と笑う。何気ない動作で目眩がするほどの色気を醸し出すから、その雰囲気は隣に立つ播磨なんかよりもよほど裏社会に相応しくて、危険な香りがあった。

「んなの、バレなきゃいいんだよ。朝倉、これ以上何も言うな。命令だ。いいな」

「ッ、慧様!」

慧は執事の反対を押し切った。

執事はいまだに賭博に反対である。

これが後の伏線になるが、今は何も企んでいないふりをして、本当に慧を止めようとしているが口が出せないふりをして悔しげにするだけでいい。

「そうですよ、朝倉様。楽しみましょう?」

それは紛れなく悪魔だった。

だが、こちらを呑み込もうとする悪魔の誘惑は、今回ばかりは相手が悪かっただろう。

他人を食うという行為は食われる覚悟があってこそで、つまり、俺達が食らったところで文句を言われる筋合いなんてないのだ。

泥沼に引きずり込んで食らおうとするそれは俺達の獲物となる。────どれだけもがいても。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。