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13.


尋斗からもらった画像を探す。

恐ろしいことに、意識を失っていた一夜の間にチャットアプリではハムレットの写真が氾濫していた。お昼寝の写真、リボンをつけた写真、口いっぱいに種とかを詰め込んだ写真。

もう無数の写真に、依頼主とかいう令嬢の執念に背中が震えそうになる。その中から適当に選んで、携帯を慧の前に差し出した。

「ホシ(容疑者)だ」

ジャンガリアン、雄、4ヶ月。

冒険心、好奇心旺盛な元気なお年頃。

「ん、ん?」

近すぎてピントが合わなかったらしく、慧の上半身が後ろに下がる。その切れ長の綺麗な目が画面を見詰めたかと思うと、呆れきった眼差しが俺に注がれる。溜め息付き。

「ホシってお前なぁ…」

「名付けて、『ドキドキワクワク・おネズミ様ハムレット搜索大作戦!』だ」

「そのネーミングセンスをどうにかしろ、頼むから。王子様みたいな感じでおネズミ様とか言うな。違うから、ハムスターだから」

「ハムレットな」

「飼い主のネーミングセンスもすごいな」

呆れた、と表情で言う慧が俺の横に寝転がる。慧がまた何か言う前に、俺は慧の携帯に無数の画像を転送することにした。ハムレットに携帯を占領される感覚を、一緒に味わえばいい。

ピロン、と音が鳴って、慧が一枚目の画像を開いて眺める。だが、その後は軽快な音が鳴り止まなくなって、恨めしげに俺を見上げていた。

「このハムスター、見たぜ?」

「ハムレッ、…っはぁあああああ!?」

「ルーレット台の下、お前がディーラーしてた時。走りたそうに、羨ましそうにホイールを見てたが、余裕がなかったから無視した」

「無視するなよ!」

「いや、無茶言うな。あの状況で台に上げて、ホイールでハムスター走らせるのか?」

「そうじゃなくて捕まえろ!!」

「もっと早くに教えろ!!」

正論に言葉が返せなくなって、だが、悔しくて、寝転がった慧の無防備な腹部をめがけて思いっきり勢いをつけて倒れ込めば、ぐぇっ、と何かが潰れたような声がした。

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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。