なのに、
「へぇ、積極的じゃねぇか」
ニヤリ、と慧が口角を吊り上げる。
「は?」
「甘えて、擦り寄って、脚を擦り付けてきて…、とぼけさせねぇぜ。昨日あれだけ愛してやったのにまだ足りねぇ?…可愛いな」
「え?」
「ほら、お前のここは素直だな」
そう言って、スカートでもめくるようにヒラッと俺が唯一身に付けているシャツをめくる。
体に冷気が触れて少し固まったが、俺に覆いかぶさって見下ろしてくる慧の視線の先を辿れば、今度こそ本当に全身が硬直した。
「はっ!?ちょ、待っ、…違っ!!」
外気と視線に晒された体の中心は、俺の意思がなくても緩く勃ち上がっていて、存在を主張していた。慌てて脚を閉じようとしたが、両太股の付け根を押さえられて全く動けない。
実際に目で見て確認してしまえば、一気に血が集まるような気がする。支えを失って舞い降りたシャツの柔らかい生地が素肌に触れる感触にすら敏感になって、息が詰まってしまう。
まだ視線が注がれているのを感じる。
(…ということは、つまり、俺は…、俺はこの状態で慧に脚を絡めていたのか!?)
もはや首まで熱くなる。
「これは朝の生理現象だッ!」
「あぁ、そうだな」
「お前にだってあるだろ!?」
言った直後、後悔した。
俺の太股を固定している慧のバスローブの上からでは中を確認できないが、甘い感情を使った駆け引きが得意なこいつはきっとこう返事する。
愛情で甘く蕩ける瞳を優しく細めて、太股の手をさらに内側に滑らせる。形をなぞるような指先に思わず逃げようと身をよじったが、もう片手に体重をかけて押さえ込まれてしまった。
「俺も勃ってる。初めは朝勃ちだったんだが、お前に煽られてな。…責任は取れよ?」
甘い囁きにクラクラと眩暈がした。
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目には目を、歯には歯を。
罠には罠をもって制するのが最善だ。