13.
カードを手に取り、確認する。クラブのA、クラブのK、クラブの6、ダイアの8、ハートの3。
(微妙…)
ちらっとあいつを見れば、ハンドが最悪であるかのように顔を顰めている。
(いやいや、お前のハンドは最強じゃねぇか。…いや、負けてぇなら確かに最悪かもな)
そして、奴は貴重なストレートフラッシュを5枚とも捨て、新たに5枚のカードを引いた。
(マジで負けるつもりかよッ!?つか、負けるメリットってなんだよ!?)
あぁ、頭が痛い。
新たに引いたカードも思わしくなかったらしく、眉間には皺が刻まれている。脳を振り絞るように考えても、奴の心中を察することはできなかった。
「なぁ、お前のハンド、どうだ?」
(つか、勝ちたくねぇのか?)
聞きたいのに聞けない。
「きついな…」
「5枚とも交換しただろ。よっぽど最悪じゃねぇの?特別にもう一回交換していいぜ」
「本当に?いいのか?勝ってしまうぞ?」
「あぁ。…勝てるもんなら勝ってみろ」
というか、勝つ気があるなら。
特別に得たチャンスでハンドを強くするのか、それとも弱くするのか。それが見たかった。
だが、嬉しそうに綻んだ表情は本当に無邪気にゲームを楽しんでいるようで、先の見えない勝負に対する緊張も忘れて、思わず見入った。
結局、そいつは2枚交換した。
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