御褒美をあげる/爆豪


※覚えてないとは言わせないと同一主人公です


「駄犬の癖にやるじゃねぇか」

爆豪勝己は幼なじみである名前に悪人のような顔をしてそう言った。
とりあえず名前は駄犬、という言葉を否定するために口を開く。

「駄犬じゃないけど…」

小声で言ったそれはバッチリ爆豪の耳に入りああ?と言われる。何でもありません、と言えば満足したような顔で爆豪は名前の頭をわしゃわしゃと撫でながら言った。

「ご主人様だから御褒美やらねぇとな」

その言葉に即、いらないけど!と返せば爆豪が睨みつけながら返す。

「拒否権なんてあるわけねぇだろ馬鹿犬!」

「ひどい!!」

鬼か、悪魔か!と思いながら爆豪を見るも睨み返されるので強気に出ることは出来ない。

「お前は有り難く御褒美もらっときゃいいんだよ、わかったか?」

「…ううう、はい」

こんな悪人のような男からもらう御褒美なんてろくでもないもんだろう、と思いながらもはいとしか返せずに覚悟を決める名前。

「いい子だ」

目ぇ瞑れ、と命令口調のそれ。
もちろん拒否など出来るわけはないので素直にそれに従い目を閉じる名前。

そして左手を取られ、すっと指に何かを付けられた。
驚きのあまり目を開けるとそこには何故か自分の指にぴったりとあった指輪。

「えっ」

「首輪代わりだ、駄犬」

そうやっておかねぇとお前はデクのとこにふらふら行きそうだからな、と。

「あ、あり、ありがと」

まさか悪人面の幼なじみからこんなものを渡されるなんて思わなくて、この前の結婚の話とかそれも含めて渡されたのかと思うと。
嬉しいやら恥ずかしいやらで自然と涙が溢れた。

「なに泣いてやがんだ」

「だ、だって」

「嬉しいんなら笑っとけ」

「う、うん」


爆豪は名前の腕を取り、自分の方に引き寄せた。

「もう、逃がさねえぞ」

「逃げないよ」

私は勝己くんのだもんね、なんて笑えば爆豪は当たり前だ、馬鹿と返したのだった。



2016.6.1


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