コンビニ店員と高校生/手嶋



いつも通りに発注して、いつも通りに接客して。今日もいつも通りに仕事が終わるはずだった。

もうすぐ終わるのに、今日はそれで終わらなかった。


「ありがとうございましたー」

やる気のない声。もう何人にもこう言ったんだからやる気がなくなるのも仕方ないもので。
いや、最初からなかったかもしれないけれど。
そうして今日何人目かわからないお客様、多分高校生が買った飲み物を袋に入れて渡す。高校生はニッコリ笑って2本買ったうちの1本を袋から出し渡してくる。

「はい?」

「いつもお疲れ様です」

「はぁ…」

貰えということなのだろうか。名前は渡された麦茶を受け取る。

「ここよる度にお姉さん見かけるんで」

いつもありがとうございます、と笑う高校生にキュンと、ときめく。
やばい、久しぶりに男に優しくされた。多分高校生だけど。

「こちらこそ、ありがとう」

そう言えば彼はニッコリと笑って、また、と出て行った。



後日彼が来た時、手を振ってみた。
無視されたらどうしようかと思ったが気付いた彼は笑って手を振り返す。
レジに2本の飲み物を持ってきた彼。1本は名字さんの分ね、と微笑む彼にまたときめいた。なにこれ、最近の若い子ヤバくない?と思いながらもありがとう、と今日もそれを受け取った。


数日間、彼から飲み物を渡されていた。
このまま貰いっ放しはよくないなと次は私があげると決め、彼が来る少し前にいつも買っていくミルクティーを用意する。
そしてしばらくして来た彼を手招きする。

「どうぞ」

それを渡せば高校生は笑ってありがとうございますと言う。
うむ、満足と思っていると彼はじっと私を見ながら言う。

「これって、期待してもいいですか?」

「え」

「オレ、下心あって渡してたんです。いつも」

「し、下心」

え、なにこれ?なに言われてるの??

「名字さんに気にしてもらいたくて、だから渡してたって事です」

気づきませんでした?と言う彼に驚きしか出てこない。まさかこんなこと言われるなんて。

「オレの事もう気になるよな?」

突然男の顔した高校生に思わずはい、と返事をしてしまった。
そして今の私は知らない。
このままこの男子高校生、手嶋純太に全てをもらわれてしまう事を。


2018.3/29


prev|next


back to top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -