「どこの馬の骨とも知れない女が何を言ってるのかしら…。桃太郎を殺す?…馬鹿馬鹿しい。何の話だか分からないわ。遺産を相続しようだなんて…そんなの、あなたこそそれをねらっているんではないのかしら?」


優しいおばあさんが初めて見せる、不敵な笑み
桃太郎の混乱は一気にふくれあがった

「親権を取り戻す?馬鹿な話も大概にしなさい。確かに、私とこの子は血はつながっていないわ…。でも、あなたにこの子の何が分かるって言うの?長年この子を育ててきた私たちと!あなた!!!どっちに親権があるかなんて一目瞭然よ」
「そうだ…。俺は二人とは血はつながってないが……そんなものより強い絆でつながってる!二人は確かに俺の親だ!」

……桃太郎、頭の弱い子なんです


「ふふふ……あは、あはははははは!」
「何がおかしい!!」

そらそんなクサいセリフ吐いたら笑うやろ

「言ったでしょう?あなたはだまされてるって!」
「だけど俺は…!」
「だまされてるわ。ええ…だまされてる!

二人とは血がつながってないですって?!」

「あなた…!どういうつもり?!」
女はけらけらと笑い、これ以上ない不敵な笑みを向けた


「あっらぁー?あなた、知らないのかしらぁ?」
ふ、と女が視線を外した、その先には何故か今まで一言も話さなかったおじいさんがいた
「お、お前……」
「ふふ、ほんっと、哀れな人よねー?今まで夫にだまされ続けて!あははははは!少しも気付かなかった人もおかしいけどねぇー!!!」

おばあさんは目を見開き、おじいさんを振り返った
「あなた……、まさか…」

「………こんなつもりではなかった」
「……!!!」
「そう、桃太郎は、

私と、そこのおじいさんの実の子よ!」




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