リナリアの花を貴方に


「おい、もやし」






─…ああ、きっと僕は末期でしょう。
こんな一言にさえ心臓が壊れそうになるんですから







「─…なんです?」


「てめェ…!!それを渡せ…!!!」








それ、と指されたのは僕が大量に頼んだ蕎麦ですね…







神田は単純ですから、こうすれば僕に構ってくれる。
知ってます、それくらい








「いや、です。」
「あ゙ぁ゙?」

「嫌だと言ったんです。聞こえませんでしたか?」

「…………斬る。」


「やめて下さいよこんなところで。」








少し挑発すればこうやってのってくる。











こうしている時間がとても愛しくて…







僕は、僕にはこうする他に貴方と話す方法が分からないんです。











不器用ですね、僕。











「──…知ってます…」


「あ゙?」

「なんなら、1ついかがです?僕、沢山食べましたから。」


「………」


「いらない、ですか?」


「……けっ。」







テーブルの端。
僕から一番遠い席に座って神田は蕎麦を食べ始めた。










さっきまで近かったものが遠くに行ってしまった。
そんな哀しさは、
















少し照れたたように見えた貴方の頬で和らいでしまう。












あぁ、神様。




もしいらっしゃるのならどうかこの一時を…















奪ワナイデ。















リナリアの花を貴方に



071127

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