「宇崎さん。愛してるって、使う?」
「はぁ!?」
射撃訓練室。
何が違うのか見極めると言って見学していた登が。
いきなり切り出した言葉に驚いて銃を取り落とした。
がつっと音を立てて落ちたそれが指先に当たり激痛。
「大丈夫!!?骨折れたりはしないと思うけど!」
登はこんな所が酷く無防備だと思う。
末っ子気質というか、他人に助力を求めるのを全く躊躇わない。
なにか基準みたいなのがあって、それは登にしか解らないのだろうが。
こんな質問は大抵真矢かマーティに振っていたのに。
「大丈夫………」
「あ〜赤くなってる。後で真矢さんに冷やして貰ってね」
「自分でやる!それより、なんだって?」
「あ、そうだ。えっとね、宇崎さんって真矢さんに愛してるって言う?」
待てをしている仔犬時代のダグを思わせる表情。
無邪気で曇りない瞳。
俺がこんな話苦手だって知ってる筈なのにどうして今日に限って……。
「いきなりでごめんね。でも、他の人って愛してるって言いそうだから」
しゅんとしょげて視線を落とす登を隣に座らせる。
「………登こそ、言いそうだけどな」
「そんな事ないよ。俺まだ子どもだし愛してるなんておこがましい気する」
意外に真剣な質問らしい。
「なんでそんな事、俺に?」
「宇崎さんって真矢さんを好きな事認めないじゃん」
「それは………!」
「照れ屋さんなんだって、もう知ってるよ。じゃあ好きって伝えてる?」
「………それは…」
「宇崎さんが真矢さんに、好きだって伝えてる手段が知りたいなって」
生意気にも“言葉じゃ無理そうだから、他の方法を”とまで言いやがった。
俺だって、俺だって………。
「……れも、って、言うし……」
「え?」
「好きとか、言われた時、俺もって、言ってる!!」
恥を忍んでんのに聞き返すな!!
そしてやたらでかい瞳で俺を見るな、驚き過ぎだ、失礼な!
「………素敵だね」
登は本当に、石川に似てる。
多少登の方が幼くて少年っぽい雰囲気が濃いけれど。
笑顔なんか出逢ってから見たあの時ととても良く似てる。
「でもたまには自分から言ってあげてね」
「一言余計だ!!」
最近言動が真矢に似てきて可愛いけど可愛くない!
+++++
結構仲良し登とうささん。
普段恋愛関係の相談は真矢とマーティが主。
そして真矢を可愛いとも思ってるらしいうささん……。