夜の音三題
星の瞬きが知る恋

「宇崎さん。愛してるって、使う?」
「はぁ!?」

射撃訓練室。
何が違うのか見極めると言って見学していた登が。
いきなり切り出した言葉に驚いて銃を取り落とした。
がつっと音を立てて落ちたそれが指先に当たり激痛。

「大丈夫!!?骨折れたりはしないと思うけど!」

登はこんな所が酷く無防備だと思う。
末っ子気質というか、他人に助力を求めるのを全く躊躇わない。
なにか基準みたいなのがあって、それは登にしか解らないのだろうが。
こんな質問は大抵真矢かマーティに振っていたのに。

「大丈夫………」
「あ〜赤くなってる。後で真矢さんに冷やして貰ってね」
「自分でやる!それより、なんだって?」
「あ、そうだ。えっとね、宇崎さんって真矢さんに愛してるって言う?」

待てをしている仔犬時代のダグを思わせる表情。
無邪気で曇りない瞳。
俺がこんな話苦手だって知ってる筈なのにどうして今日に限って……。

「いきなりでごめんね。でも、他の人って愛してるって言いそうだから」

しゅんとしょげて視線を落とす登を隣に座らせる。

「………登こそ、言いそうだけどな」
「そんな事ないよ。俺まだ子どもだし愛してるなんておこがましい気する」

意外に真剣な質問らしい。

「なんでそんな事、俺に?」
「宇崎さんって真矢さんを好きな事認めないじゃん」
「それは………!」
「照れ屋さんなんだって、もう知ってるよ。じゃあ好きって伝えてる?」
「………それは…」
「宇崎さんが真矢さんに、好きだって伝えてる手段が知りたいなって」

生意気にも“言葉じゃ無理そうだから、他の方法を”とまで言いやがった。
俺だって、俺だって………。

「……れも、って、言うし……」
「え?」
「好きとか、言われた時、俺もって、言ってる!!」

恥を忍んでんのに聞き返すな!!
そしてやたらでかい瞳で俺を見るな、驚き過ぎだ、失礼な!

「………素敵だね」

登は本当に、石川に似てる。
多少登の方が幼くて少年っぽい雰囲気が濃いけれど。
笑顔なんか出逢ってから見たあの時ととても良く似てる。

「でもたまには自分から言ってあげてね」
「一言余計だ!!」

最近言動が真矢に似てきて可愛いけど可愛くない!


+++++
結構仲良し登とうささん。
普段恋愛関係の相談は真矢とマーティが主。
そして真矢を可愛いとも思ってるらしいうささん……。


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