「あんどーさぁん」
甘えた声で俺を呼ぶのは後輩で同室の石川。
ラウンジに来るのは珍しい。
大抵城さんと部屋でじゃれてるから。
年離れてるのに仲良いとは思ってた。
「淋しい……」
「……そうか」
ヤバい。
来る、かも………。
「だからぎゅってして?」
はい来た。
酔うとこれだ。
隊長とは反対に普段自分からスキンシップ図るタイプなのにな。
酔うと甘えた声で“してして”と強請る。
石川は俺より背が高いのにこんな瞬間は、なんというか……。
「可愛いなぁ登は」
「あ〜ろぅさん〜」
「あんちゃんがしてやろうな〜」
「や〜。あんどーさんが良いのっ」
嫌と言いつつ抱き締めて貰って。
ぐずる赤ん坊みたいにロウさんの腕の中でもぞもぞする。
「あんちゃんじゃ嫌か〜?」
「や〜」
それにしてもロウさん、石川に甘すぎじゃないか?
ロウさんってキャラこんなだっけ。
「城さんはどうしたんだ、石川?」
「ざんぎょーで構ってくんない。
センター行こうとしたら兄ちゃんに叱られた……」
一応城さんに連絡入れとこ。
「じょぉさんの馬鹿〜兄ちゃんのいけず…」
「よしよしあんちゃんがいてやるぞ〜」
「ろぅさんヤダ〜あんどーさんが良い〜」
「振られたね、ロウ」
「うっさいパレ!嫌味か!」
「パレさんだぁ〜」
「ふふ。ロウより良いってさ」
「登〜あんちゃんじゃダメなのか?」
そっとその場から抜け出す。
パレさんは行ってらっしゃいとばかりに手を振る。
……かなわないなぁ。
「失礼します」
「安藤?」
センターには残業と思しき城さんと、室班の室井さんだけ。
「城さん。ラウンジで石川が大暴れしてます」
「………隊長は?」
「外ですね」
「真矢さんは」
「今日は夜勤待機組だったと」
「………分かった。五分で行く」
それからきっかり五分後。
仕事を終わらせた城さんは俺とセンターを出る。
「登」
「城さんっ!!」
嬉しそうに石川は駆け寄って来て、城さんに飛び付く。
「帰るぞ」
「え〜?やだっ。パレさんと一緒……」
「登」
「………うん」
「行こう。お騒がせしました」
連れ立って帰っていく。
登使いと呼ばせて貰おう。
「安藤、お疲れ様」
本当にどっと疲れた。
可愛い後輩だから文句は無いけど。
………これじゃぁ登に甘いとか他の人に言えないな。
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登の同室で同じく外警先輩の安藤君の受難
なんだかロウさんを履き違えててすみません
しかも片想い気味(恋じゃなく)
パレさんは繊細な外見の割りに強かそうなので
位置はお姉さんっぽい感じで。