「真矢さん!」
「よぉ登………」
真矢さんは帰って来た。
宇崎さんをひとりにしない為だけに。
「あ〜んして」
「あ〜ん?」
真矢さんは両眼を手術した。
内臓も酷く傷付いていたし、長い間集中治療室から出られなくて。
でもやっとひとつき前に一般病棟に移って、今は食事も固形物をゆっくり試しているらしい。
細かい傷が付いたという両眼は未だに包帯が巻かれ、1日何種類もの薬を十回も二十回も点している。
多少時間は掛かってもまた視力は回復するとのことらしい。
負荷が掛からないよう完全に視界を遮断しているだけ。
「甘いな〜飴か」
「ティアドロップ!」
「うん?」
「凄いよ〜“幸せな恋人達の涙味”っていうキャッチフレーズ。知ってる?」
「あぁ!ラジオで聴いたな〜」
「宇崎さんの涙、こんな味?」
口元を歪めた真矢さんは緩く首を傾げる。
「悲しい思いさせたから、きっともっと苦いよ」
真矢さんが手を伸ばしたから顔を寄せると。
頬を撫でた掌は辿るように上がって髪をくしゃくしゃにした。
+++++
真矢重体後の話。
真矢の両眼に白い包帯設定がえらく萌える自分が居る。
これ当分自家発電で萌えそうな。