「好き……城さんが好き、好きだよ」
子どもみたいに声をあげて泣いた。
目を開けた城さんを見て。
俺を見てほんの少し、微かに笑んでくれたから。
それで溢れた言葉がこれだった。
城さんは半月で退院して。
今月の部屋替えで同室にして貰ってた俺は。
ひとり気まずい。
だって城さんは直ぐに目を閉じていて聴いていたか分からないから。
聴いていたにしてはリアクションが無い。
でも聴いてなかったにしては、なんというかスキンシップが増えた。
気がする。
だからってもう一度改めて言うには恥ずかしい。
あの時だってぽろりと口から出ただけなのだ。
言おうと思って言った事じゃない。
第一俺は告白した事が無いのだ。
今までの彼女だって向こうから言ってくれた。
「登」
ほら。
今だって床に座ってた俺の直ぐ隣に座って腰に手を回してきた。
だから俺はどうしたら良いか分からない。
消えたかどうか分からない言葉を繰り返せるほど。
俺は素直じゃないんだ。
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城の生還話、後日談。因みに城さんはばっちり聴いてました。有耶無耶にする登にちょっと怒って意地悪中。