手負いの獣、程は危険無く。
強いて言うなら手負いの仔猫位?
毛を逆立てて。
必死に自分を大きく見せて威嚇する。
「見てんな!」
生意気そうな態度の裏の。
そのどこか甘えた瞳の光が分からないか?
「怪我したんだろう?見せて見ろ」
「してねーし。触んな…っ」
左上腕、傷は浅くない筈だ。
「柵の外に居た一般人を庇ったんだ、何を隠す」
「……!!」
見てたのか、そんな表情。
「よくやったぞ。歩けるなら医務班呼ばずに自分で行けるな?」
「………はい」
「よし。俺も付き添う。整備の真矢です。外警石川が負傷。今から抜けますので再編成を」
羽田外警副班長からの了承を得て館内に戻る。
石川登。
現在のJDGを支える要の隊長実弟。
他の同期より二年遅れて入隊した新人で、誰よりも今注目されている。
生意気な新人と有名なのだ。
けれど城との関係を見ていれば分かる。
自分が認めたヒトにはとても素直に懐く。
「………まや、さん…」
「ん?」
「………失礼な態度とってすみませんでした…」
たどたどしく名前を呼ばれ。
上目遣いに謝罪されればもう大丈夫だろう。
「気にすんな」
ぽんと頭を撫でてやると。
それはそれは幼く笑う。
あまりの可愛さに驚いた。
「これから気を付けます!」
城……おっ前こんな愛いの独り占めしてたのかよ〜?
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登、緋琉に懐く。
可愛くなかった登の可愛さにノックダウンの緋琉。
孫を可愛がる祖父の様になると思う。