マーティは、俺の髪を月の光の様だと褒めてくれる。
俺もマーティの髪は陽の光の様だと素直に口にする。
今も頬を寄せた金色の髪はさらさらと心地良く花の様な香りがした。
昼を照らす太陽と、夜に浮かぶ月。
似て非なる俺達はまるで足りない部分を補う様に傍にいた。
「………どうしてこんなに臆病なんだろうね」
マーティが眠ってから、時折こうしてアレクさんは口を開く。
「泣きそうなマーティが愛しすぎて触れる事も出来ない」
くつり、苦く溜息の様な笑い声は静かに溶けた。
この人はとても優しくて臆病だ。
無防備な時だけ見せる本心。
「……城ちゃん。俺はどうして行けば良いんだろうね」
「お好きな様に」
「………うん…」
淡い微笑の中に見え隠れする不安。
それはマーティにも伝染して二人はいつも不安定だ。
支える様に、そんな二人の傍にいる。
「………触れても、良い?」
答えずにいると静かに移動してくる気配。
マーティは未だ夢の中。
「………ごめんねマーティ…いつも君を不安にさせてばかりで」
さらりと優しく触れる指。
器用で長くて案外繊細な、アレクさんの指。
「それでも君を…」
言葉を詰めて微笑う今の貴方を知ればマーティは。
不安にならなくて済むのだろうに。
貴方は臆病だから、隠し続ける。
続く言葉は愛してる。
口には出せない貴方が酷く、可愛くて切なかった。
「いつか」
「………え?」
「今の言葉全てを言えると良いですね」
「………うん」
+++++
なんとなく三連作っぽい城とアレク。
今は三人で安定してて、離れがたくて、でもいつは二人で立つから。
城はそれまでずっとずっと傍に居れば良い。
それからは、ほら、ね?(何!)