「………マーティ?あれ、城ちゃんもどうしたの」
街中で急に立ち止まった、金色の恋人。
そしてつられる様に止まった銀色のパートナー。
この二人は同年代で本当に仲が良い。
犬猿の仲だったのに一体いつの間にと思う。
でも仲が良いのはとても良い事だ。
「ねぇアレク」
いつからだろう?
マーティは俺の事をアレクさんとは呼ばなくなった。
そして呼ぶ声は凛としているのにどこか甘く響く。
それが堪らなく好き。
「どうして手を繋いじゃ駄目なんだ」
「………照れ屋と言うよりもヘタレだ」
可愛い二人からの非難する視線はイタイ。
でもさ、でもさ!
「ここ…街中だよ?」
「知ってる!」
「だから?」
「えっと……ほら、俺達」
「そうだよ男同士だよ!」
「だから?」
「や……なんていうか二人共只でさえ目立つから」
「アレクが一番目立ってるよっ」
「悪目立ち。デカイし長髪だし服のセンスぶっ飛んでるから」
あれ…あれれ?
只でさえ弱いのに金銀仔猫に共闘されたら勝ち目無い……?
「………少しぐらい。恋人らしい事させてくれてもいいじゃないか…」
城ちゃんの居る前で??
と言うかこんな人前で!?
「泣かせるのアレクさん」
城ちゃんの言う通り。
蒼い蒼い瞳はゆらゆら揺れて海の様。
綺麗で綺麗でとても切ない。
「泣かないでよマーティ………」
そして本当に泣きそうなマーティに手を伸ばす事も出来ない俺。
「………そんな…」
「え?」
「そんな顔は反則だ……!帰ろう城!!」
「え?え?」
「全く貴方は……」
「ちょ……城ちゃん?何、マーティ、何処行くの!?」
「うっさいバカ!」
「よしよし」
「もしもし!!?お二人さん、買い物するんじゃないの!」
「バカバカバカ、バカ!!」
早足で歩き出すマーティと手を繋いでこの場を去る城ちゃん。
「って言うか二人が繋いじゃうの!!?」
「そこを突っ込んでる限り貴方はヘタレだと思いますよ」
「どどどどどどどーいうことそれ!?ちょ、待ってって!」
二人の荷物持ちに任命された為。
両肩には大きな紙袋がみっつもよっつも掛かってる。
重みは感じないが嵩張って仕方ない。
これからもうひとつの駅前ファッション雑貨ビルに行く予定は?
………手、繋げば機嫌直してくれるかなぁ?
いや。
いやいや、無理!
無理だそれは無理!
人前で手を繋いでなんて歩けない!
………恥ずかし過ぎる!
+++++
金銀仔猫は対アレクでは最強。
でもアレクの泣き顔の方が強い、惚れた弱み同士。