貴方を雁字搦めにしてみせる。
そう誓ったのは過去の話。
結局惚れた方の負けなんだ。
「まーやーさぁーんっ!!ねね、真矢さんっ」
今春入隊した登が廊下の端から掛けてくる。
満面の笑み。
抱き締めたくなる可愛さだ。
自分に特別懐いてる所が格別。
「よぉ登。何休憩?」
そして「着いたっ」と胸に飛び込んでくる。
「ん〜ん上がり!それよりさっき思ったんだけどさ」
あ〜も可っ愛いよマジ。
「宇崎さんって恥ずかしがり屋さんなんでしょ?」
「うん?」
「………初めての、きっかけって?」
最近どうも、城を意識してるらしい登は。
そのテの話を振ってくる事が増えた。
城のさり気ないアプローチも知ってる。
「どの初めて?」
囁いて笑えば、顔を赤くして俯き。
「………う〜…えっち…」
消え入る様な声で呟いた。
我ながら意地の悪い事をした、とちょっと反省。
「悪かった、別に初めてのセックスじゃないんだろ?」
「女の子とはそれなりに……。でも、今は勝手が違うと言うか」
「多分ネコだしなぁお前」
「え!やっぱりそう?俺が受け入れる方かな?」
「背は登のが高いけど。お前の方が細いだろ、押し倒せる可能性は低いな」
城はああ見えて着やせするタイプ。
脱いだら、凄い。
「なにそんな事も迷ってる理由のひとつ?」
「そんな事って……!!」
「俺は万尋さんになら抱かれたいよ」
「………真矢さん…」
これは嘘じゃない。
万尋さんからのアプローチは期待出来ないから必然的にタチだけど。
抱かれても良い、じゃないんだ。
抱かれたい。
「俺はそんな風に万尋さんが好きだよ」
登を見ると赤い顔して驚いてる。
そりゃそうか。
男なのに抱かれたい、なんて平然と言ったもんな。
「………いいな」
「ん?」
「宇崎さん。真矢さんみたいなヒトに愛されて、羨ましい」
「褒めてくれてんのか?」
苦笑で返すとこくりとひとつ、首が縦に動いた。
素直な瞳に嘘はなく。
俺も素直な気持ちで「サンキュ」と言えた。
「城さんも。その位俺の事好きなんかな……」
「さぁ?聞いてみろよ」
くしゃりと柔らかい髪を掻き回せば嬉しそうに笑う登。
今はこんなでも、前は俺にも生意気な態度だったんだぜ?
なぁ城。
今度はお前がこの可愛いヤツを捕まえんのか?
+++++
緋琉大好き登。
廊下の端から端までダッシュして、胸に飛び込む登は多分身長は殆ど変わらないと思われ。