血が。
血が流れてる。
目から血が。
「登…、万…尋さ…連れて……」
「真矢さん!真矢さん目が!!」
「良いから!良いから万尋さん連れて行ってくれ…頼む」
「真矢!!真矢、真矢…っ」
「宇崎さんっ!!揺すっちゃダメだ!」
吐血してる、それにその腹……!
どうしてこんな事に。
普通に登と喋ってただけだ。
そしたら真矢が真っ青な顔で走ってきて。
すごい力で引っ張られて次にすごい音がして……。
「万尋ぉお!!他の男と喋りやがってぇ!」
名前を呼ばれたけど、そんなの気にならない。
「こんなに愛してるのに!!いっそお前と死のう、なぁ万尋!!?」
「宇崎さん、下がって!アイツ目が変だ!」
登が立ち向かっている男。
アイツが爆発物を?
真矢をこんな目に?
真矢、真矢、遠いよ。
いっつもムダにくっついてくるくせに。
俺体に力はいんないんだ。
お前が傍に来い、いつもみたく来いよ?
「……ひろ…さ………」
ぽつりと。
俺の名前を呼んで真矢は呼吸を止めた。
だれか。
だれか真矢を。
まやをたすけて。
【俺、絶対万尋さんより先に死なないよ】
【……変な話はよせ】
【だって万尋さんは俺が死んだら生きてらんないでしょ?】
【はぁ?自惚れんな何様、お前】
【万尋さんは、その位俺の事好きだよ。泣いて泣いて死んじゃう位に】
【………お前は?】
【え?】
【お前は俺が死んで、生きてられんのかよ?】
【うん、生きるよ】
【………っ!?】
【だって万尋さんの所為で俺が死んだら死んでても泣いちゃうでしょ?】
まや。
【万尋さんと生きた思い出だけを抱いて死ぬまで生きるよ】
まや、まや。
【万尋さんは死んじゃう位俺が好き】
まや、しなないで。
【俺は死ねない位に万尋さんが好きなんだよ】
おれがすきならしなないで。
だきしめて。
+++++
痛くて暗い話ですみません。
真矢大怪我話の真実。
万尋さんは死ぬ程、緋琉は死ねない程相手が好きだという話。