【城さん!】
いつも、いつも。
俺の名前を呼んで追ってくる。
柔らかくまるで大切な物の様に俺の名前を口にする。
悲しそうな顔で。
悔しそうな顔で。
楽しそうな顔で。
嬉しそうな顔で。
何度も、何度も、あの人がそうしてくれた様に。
積もり積もった優しさはいつしか愛しさに変わった。
俺の恋はいつもそうだった。
積もり積もった憎しみを感じたあの人にも。
積もり積もった優しさをくれたあの人にも。
積もり積もった愛しさを共有したヤツにも。
いつも少しずつ積もって、積もって、恋になった。
そして全てそれらは時間と共にゆっくりゆっくり消化して。
消えて次の恋へと移る。
自分でも気付かない内に始まって、気付くともう。
終わっている。
恋した人は全て、誰かを愛する人ばかりで。
その想いが眩しくて羨ましくて口にもだせないまま。
でも今は違う。
今度は譲らない、誰にも。
誰かを好きでも絶対に諦めない。
誰かが好きでも絶対に渡さない。
好きなだけじゃない。
恋してるだけじゃ我慢できない。
愛して欲しい、愛してるから愛し返して欲しい。
今までに無い強さ。
自分でも驚くほど、強い願い。
「好きだ」
「え?」
「お前が、好きだ」
甘い瞳が揺れる。
今の関係をなくしたくないからと口にしなかった。
過去の俺とは違う。
今の関係が続く位ならいっそ零になればいい。
「好きだ」
そっと、抱き締めた。
+++++
告白は城から。
登を好きになって初めて分かる、過去愛した人達へと想い。