そんな顔見せられたら。
「………参ったな…」
「城さん…っ」
本当にささやかなプレゼント。
マーティさんに聞いて知った城さんの誕生日。
何かしよう、絶対にプレゼントを渡そうって決めて。
あちこち探すのも楽しかった。
方向音痴だから結構迷子になったけど………。
穴場的な場所もあったし、方向音痴も捨てたものじゃない。
そんな穴場の店で見つけた。
ブラックレザーにシルバーを編んだ太めバングルと。
同系デザインなのにレザーとシルバーの比率が違う細身のブレスレット。
どっちか凄く迷って、でもどっちも捨てがたくて。
値段は安くなかったけどやっぱりどっちも似合うって思ったから。
ブレスとかしてるとこ見ないし。
装飾品っていったらピアス位。
似合うのにな、ってずっと思ってた。
だから今回プレゼントにして。
“おめでとう”
こんな一言と一緒に贈った。
「………どうしたら良いんだろうか…」
泣きそうな、頼り無い表情でブレスを撫でる城さん。
こんな顔見せられたら抱き締めずにはいられないよ。
「ありがとう……嬉しいよ、登…」
そしてそのまま口の端を歪ませる様に笑うこの人を。
「喜んで貰えて、良かった…」
押し倒す勢いで抱き締める。
でもびくともしない城さん。
それでもいい、こんなに喜んで貰えたら本望だ。
捜し歩いた甲斐もある。
俺は未だブレスに釘付けな視線を無理やり剥がして口付けた。
+++++
城にはシルバーだと思う登。
愛して愛し返してくれた人からの、心からの贈り物に戸惑う城。