春15題
溢れる幸せを垂れ流しにして

「真矢さん、何か、幸せ?」
「え?」

食堂の隅。
城さんと座っていた真矢さんは自分の頬に手を当てた。
まだ包帯の取れない両眼も痛々しい姿。
けど本人は至って普通に生活している。
通常業務には参加していないものの、整備室に日勤勤務並みの時間いた。
何やら工具に触れては簡単な整備をしてるそうだ。

「登にも判るなんて相当浮かれてる?」
「病み上がりなのにまさか宇崎さんに無理強いしたんじゃ」
「馬鹿。明日から何時間か包帯外せんの」
「ホント!?」
「あぁ。まだ細かい整備は無理だけど仕事復帰第一段階かな」
「良かった!ホント良かった〜」

真矢さんの大怪我は宇崎さんと俺を庇って負った傷。
内臓にも深いダメージを負い一時期は生死の境をさまよった真矢さんは、九死に一生を得た。
今こうして普通に生活しているのが嘘みたいな怪我だったのに。

「心配掛けたな。でもちゃんと治ってるから」

真矢さんは俺の髪をくしゃくしゃにして綺麗に笑った。






「でも昨日頑張ったんでしょうに」
「城っ。登には黙ってろ」
「はいはい、今更隠す事ですか?」
「なんか登に聞かせるには生々しい」
「………もう俺が頂いてるのに」
「何?ちょっと、待て、今の……おい!聞いてないぞ、こら城っ。兄貴分として聞き捨てならんっ。無視すんな!」


+++++
真矢包帯話(しつこく萌えてます)
真矢は登入隊半年位で怪我したので城との関係を知りません。
両想いだとは知ってた。


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