「………アレク」
涼やかで凛とした、マーティの声。
腰まで伸びた髪はクロさんの手により丁寧に編まれていた。
「ん?」
「偶にはナマでしよう」
「えぇえええ!?」
突然何を言い出すのやら。
只今午後二時半になろうかという真っ昼間。
うららかな春の陽射しも優しく温かな日だ。
お互い非番でなんとなく俺の部屋に居るけど。
唐突過ぎるよマーティ。
「うん、ナマだよ。一度はやらなきゃ」
俺を置いていかないで。
「ねぇアレク………スキン越しじゃない貴方を感じさせてよ」
この子は分かってやってるの?
今の台詞、どれだけ嬉しくてどれだけクるか。
分かってないんだろうな。
素直に思ったことを言ってるだけだよね…。
可愛くも憎らしいと思う一瞬。
「日本語おかしかった?伝わってない?」
俺の心マーティ知らず。
追い討ちを掛けるかのごとく長い金の睫を瞬かせる。
「伝わった!伝わったけど……明日大変な事になるかも」
そう。
男女では後々大変な事になるだろうコレも。
男同士だと翌日やってくるのだ。
「後処理もするよ、だから。ね?」
ごごごご自分でやる、と!?
いやそれはぜひこちらにさせて頂きたく
いやいや何を言うか落ち着けアレク。
「でも……」
ちらりと外を見る。
今はいないクロさんだが。
実はあと数十分で帰宅する予定だ。
「こんな、昼間から……?」
この台詞は意外とソッチ方面に保守的なマーティに効く。
奔放に見えてこんな所は凄く保守的。
何をされても良いと言いながらも口癖は「いや」な位。
「………じゃぁ夜」
「え!?」
「夜這いに来るから待ってて」
幸せな悩みだと分かってる。
これを相談すれば誰にだって「ノロけるな」と呆れられる位幸せなんだと。
でも俺の青い鳥は思いがけない幸せを運んで来てくれるから。
………気が気じゃないよ。
+++++
続アレマ。
やっぱり見せ掛けほのぼの。
本番は意外と保守的なマーティ。
アレクは始まるまでが保守的で内容は奔放だと萌える。
そんで毎回真っ赤になったマーティに泣かれると良い。