やだ。
「登!」
やだ、やだよ城さん。
行かないで。
置いてかないで。
傍にいて。
傍で笑って。
優しく笑って。
時々叱って。
叱って呆れて、それでも愛して。
「まだ言ってない!まだ何も言ってない、ちゃんと言ってない……!」
好き。
大好き。
大好き、城さん。
逃げるから追い掛けてきてくれた。
「それにちゃんと勝ってない!いつか勝つまで相手してくれるって言った!」
ずっと先を行ってても振り返って笑ってくれた。
待ってくれなくて良かった。
そこは追い掛けて行くべきところだから。
「やだぁ!逝っちゃやだ、城さぁん……っ!!」
一生追いかけるって言った。
振り向かせる迄追いかけるって言った癖に。
一生追い続けるって言った。
そしたら良いよって言った癖に。
「兄ちゃん……」
「登っ」
「どうしよう兄ちゃん……城さんが」
城さんが逝っちゃうよ。
+++++
暗くて申し訳ない。
でも死にネタじゃなく奇跡の生還話の途中、みたいな。
何と無く続く。