たまらず流した15の涙
潮風が慰めた
真っ暗な部屋の中。
海側に大きくとられた出窓に登が腰掛けていた。
気配を殺して近付くと。
窓に頭を預けひとり静かに泣いている。
思わず体を状態を忘れて強く抱き締めた。

「……じょぉ、さん?」

毎夜ひとりこうして涙していたのだろうか。

「波の音が、城さんの寝息に似てたから」

急に動かした為に傷が鈍く痛んだ。
それ以上にその言葉に胸が痛い。

「毎晩ラジオを流して、海の音拾って、寝てたから、なんか安心すんね。ちゃんと城さんの寝息も聞こえて音楽みたいで聴いてたんだ」

窓を開けた登の濡れた頬を潮の匂いが混じった風が撫でた。


+++++
生還後の療養旅行中夜。
ひとり寝する時の登はめっきり潮騒ラジオをかけて寝る。
じゃなきゃ眠れない。
でもホントに潮騒と城の寝息が似ているのかは不明。
寧ろそんなラジオ局が無い。


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