たまらず流した15の涙
白に赤はよく映える
雪が積もった。
なんだか嬉しくて仕方なくて。
ダグと一緒に寮に面した庭に飛び出した。

「さむ〜っ」
「おはよう登、ダグ。今日は夜勤なのに朝が早いね」
「おはようございます、池上さん!」
「ワン!」

ダグが走り出した為に登も慌てて追う。
まるで二匹の仔犬がじゃれ合っているような。

「ほ……微笑ましいですね〜」

同室の先輩・安藤がはにかむ。
池上も「微笑ましいね」と笑って頷いた。




「って……!」

池上達と別れた途端。
登が突然ダグを抱えて転んだ。

「登!?」

正確にはダグを抱えて受け身をとったのだ。
その後も続く、空を切る音。
素早く反応して二転三転。

「東側に襲撃!応援を要する!」



登を襲った相手は、5人。
正確には5人と2匹だ。
あの後闘犬とおぼしき大きな犬が侵入してきたが結局登ひとりで倒してしまった。

「登!」
「城さぁん〜俺夜勤なのにぃ」
「出血してるじゃないか!医務班!」
「縫うかな、今日夜勤出られるかな」

積もった雪の上に落ちる血液の赤さに目が覚める様で。
目眩がしたのは多分。


+++++
大怪我しても戦闘中は平然。
でも終われば大騒ぎ。


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