◆【本編11話:自業自得だ!!】より
ヘリオポリスからヴェサリウスに機体を持って帰るアスランとアーティのシーンから。
お互い暫し無言で機体を走らせていたが、なんだか気まずくなってアスランの乗る機体へと視線を走らせる。
なんと言葉をかけていいのか迷っている間に、私は段々と不安を覚えていった。
(アスラン……気づいてないのかなぁ……)アスランの乗る機体の進行方向を再度確認してから、私は意を決して彼に通信を繋ぐ。
もはや迷っている場合ではなくなってきたからだ。
「アスラン……アスラン!」
呼びかけるけれど、アスランからの応答はない。
(あれっ!? ……おかしいな、ここは、『何だ?』ってアスランから返答があるシーンのはず……だよね!? 私、間違えてないよね!?)「えっ……ちょっアスラン!! アスラァン!! マジ、そのまま行くと壁に激突するよ!! ねぇ、ちょっと!」
私が焦ってイージスに手を伸ばすと、イージスは綺麗な弧を描いて反転した。壁に激突をまぬがれたアスランは、私に通信回線を開いてくる。
【アルト! 何してるんだ!?】
「え!! だって、さっきから呼びかけてるのにアスランが無視するんじゃん!」
【いや、こっちには聴こえてないんだけど】
「え!? だって………あれ??」
私たちはとりあえず、その場に機体を停止させて接続機器を確かめる事にした。
ゼロのコックピット内で機器をあれこれ確かめている私を見かねたアスランが、イージスのコックピットを開いて私の方へと近寄ってくる。
「アルト…どうなってる?」
「あすらーん! わかんなぁい!!」
「……はあ……どこに繋いで……」
ゼロのコックピットに移動してきたアスランが、私が最初に繋いでいた通信画面を最初から確認して固まった。
「アルト……」
「ん?」
「……サウンド、オフになってる…」
その言葉を聞いて、私は瞬時にアスランの手元を見る。
「……あ……えとー……」
「……………」
「……えへっ」
沈黙に耐えかねて笑ってみたけれど、アスランはため息を吐き出しながら頭を抱えていた。
テイク2→
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(三日連続リテイクおめでとうアルト!)
(おめでたくない! ミゲルのバカ!!)
(俺はNG知らずの男だからな)
(出番少ないからだよ! ばかぁ!!)
(なっ! なら俺の雄姿をしっかり見てろ!)※オマケ
【なら、あの機体は俺が捕獲する。お前たちはソレを持って、先に離脱しろ!】
ミゲル先輩はそう言うと、正面からおぼつかない足取りで歩いて来る機体を睨みつけ、ジンのサーベルを取り出した。
【アルト、調整は?】
「ある程度なら終わってる…」
【…なら、ちょっと待っててくれ】
「う…ん」
そんな事を言っている間にも、ミゲル先輩は奪取しそこねた機体に向かって猛攻撃をしかけていた。流石は黄昏の魔弾といったところ。攻撃に隙はない。だが、振りかぶったサーベルを振り降ろす瞬間、目の前の機体は灰色から鮮やかな配色へと激変した。
【なにぃぃ!?】
体勢を立て直す事にしたのか、ミゲル先輩はその場から飛び退いた…はずなのに、ジンの片脚を建物にひっかけて転んでしまった。
【……ミゲル!?】
「…誰がNG知らずの男だって?」
【くっそぉ!! 何でこんなトコに建物があるんだ!? さっきはなかっただろ!?】
CUT!
(これでミゲルもNG仲間だね!)
(仕方ないな。入ってやるぜ!)
(そもそもNGを出すな馬鹿者共!)
(イザークもそのうち、仲間になるよ)
(ならん!)