◆【本編06話:誰が恐れ入るか!】より
赤服による尋問の最中。大人しかったイザークを巻き込んでの隊長大好き合戦の途中から。
「俺は、隊長がどんな姿をしていようと、その軍に対する姿勢と技術を尊敬しているだけだ」
「ほらほら、イザークもそう言っているよ」
大人しかろうが何にせよその返答に機嫌を良くした私は、満足気にラスティとディアッカを見る。だが次の瞬間、イザークは私の機嫌を急降下させるような言葉を吐き出した。
「だが、貴様のようなミーハーな感情からではない。一緒にするなジェニウス」
「はぁぁぁ!?」
先ほどまでの冷静さはどこに消えたやら。イザークは眉間にシワを寄せてキッと睨みつけてくるのだ。
(ミーハーって!! 私は兄様一筋だっての!! しかも逆ギレされる理由がわかんないんですけど!? つか、ソレもはや死語だよイザーク!!)私は心の中の憤慨をイザークにぶつけるようにして噴火する。
これは絶対に負けるわけにはいかない戦いだ。
「誰がミーハーよ! 私は隊長一筋だ! クルーゼ隊長は、軍に対する姿勢と技術だけじゃないわ! 女性には紳士的だし、転びそうになったらやんわり注意してくれるし、絶対怒られるような失敗しても苦笑して終わらせるような、超☆絶イイ男なんだよ!! しかも、何をやらしぇっ……」
「…アルト!?」
「……噛んだな」
「……噛みましたね」
「あれほど練習したのに大事なところで噛むな馬鹿者…」
「ぷっ!」
私が台詞を噛んだ事でアスランは驚いて私を見るし、ディアッカもニコルもイザークも呆れている。
(ラスティは、後でシメる……!)「……だぁって、一息で言わないといけないんだよ!? しかも早口でとか、なんの試練だよ!? もぉー!!」
「文句を言っても撮り直しだ。リテイクやるぞ」
「うわぁーん! もぉヤダこの台詞ー!!」
CUT!
(イザークが代わりに言えばいいんだ!)
(俺が隊長大好きアピールしてどうする!?)
(私の兄様なんだから、イザークだって愛しちゃえばいいんだよ!)
(無茶を言うな!!)