第4章 砂漠の虎
26:「つまんねぇ基地…」
単身で地球へ降下してから四日。俺たちは地球のザフト勢力、ジブラルタル基地に居た。
俺は食事プレートを持って、イザークが居る部屋まで歩いていく。

「よぉ、イザーク」
「ディアッカか…」
「アルトの様子はどうだ?」
「…昨日よりはマシだそうだが」
「ふーん…」

食堂からパクってきたプレートを手渡しながら、俺はアルトの様子をチラ見した。
確かに、昨日よりは顔色が良い気がする。だが、まだまだ彼女は辛そうに眉根をよせながら昏睡していた。

「もう四日か……そろそろ目を覚ましてもいいと思うけどな」
「ふん、これくらいでコーディネイターが……気合いが足りないんだ」

言葉とは裏腹に、イザークがアルトを見る目は、とても心配しているような眼差しだった。

(ホント、素直じゃねぇの…心配でたまりませんって顔してるくせによ)

「とりあえず、俺は用事あるから…後、たのむ」
「早く行け」

これ以上、俺がここに居ても何もする事はなさそうなので、適当な理由をつけて部屋を出た。

俺たちは単身地球に降下したが、ちゃんとコックピットの準備を整えての降下だ。アルトだけは降下する最中に気を失ったのでコックピットの準備などする暇はない。
デュエルに抱えられて一緒に降下したは良いものの、地表に降り立った後、ゼロのコックピットを強制開錠すると、とんでもない暑さだった。

「俺たちだって、あの後二日は寝込んだんだぜ…」

なんとか意地でアルトを救出し、そこから医師の適切な処置のおかげで俺たちは全快したが、彼女だけは未だに目が覚めない。熱に浮かされ、一時期は非常に危険な状態だったのだ。
自分のせいで何の準備もなしに降下させてしまったと感じたイザークは、悟られないようにアルトの看病をし続けている。

「…バレないとでも思ってんのかねぇ…」

責任があるとか何とか言って、もう二日もぶっ続けで看病している。
病み上がりのくせにと最初は医師につっぱねられていたけれど、イザークの粘り勝ちだった。
…というか、あれは脅迫に近かった気がする。
イザーク曰く、アルトに看病していたのがバレなければそれで良いとのこと。口封じは完璧だ。

(俺は、場合によったら話すけどな)

二人のためになるならば話す覚悟だ。
イザーク自身、アルトへの感情を自覚しているのかどうかは知らないが、周りには確実にバレている。主に赤服連中はアカデミーの時から薄々気づいていた。
アルト自身の気持ちについては


『まだ、それが恋愛感情なのかどうかは、わかんない。でも、たぶん……異性として見てはいると思うよ』


そう本人が語っていた。

(…いつ本人たちがくっつくか…ラスティと賭けてたが…)

賭け帳簿を持っている元締めのラスティはすでに居ない。一人だけ先に逝ってしまって、今頃は天国で何をしているのやら。

「あぁ……つまんねぇ基地……」

さっさとアルトが目を覚ましてくれなかったら、俺がイザークに八つ当たりされる回数が目に見えて増えていくので問題だ。結構コッチも深刻な悩みだというのに。

「……早く目を覚ませよ……アルト」


NEXT→

(それにしても、ラスティが逝ったら、賭けってどうなんだ? …俺たち賭け損?)


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