第4章 砂漠の虎
24:「お前も撃ち落とすぞ!!」
【目標は足付きだ、他に時間を食うなよ!】

兄様からの通信を受けて、私たちは了承の意を返した。

「ディアッカ!」
【アルト! 久しぶりじゃん?】

ガモフに比べて、ヴェサリウスは目標からほんの少しだけ遠い。先に出撃していたガモフメンバーのうち、ディアッカが乗るバスターを見つけて私は通信を繋いだ。

「イザークは!?」
【もう、無理。かなりヤバイ状態だなー】
「うっそー…」
【まぁ、新装備もつけたし、次は大丈夫だろ】
「何ソレ?」
【アサルトシュラウド。イザークの機体は多少カスタムできて便利みたいだぜ】
「へー…」

そのカスタム機体の解析に一役買ったのは私だが。
本国での私の不休作業も、無駄にならずにすんでよかった。その解析のおかげで専用武器を開発できたようであるし。

【さぁて、俺たちもイザークに続きますか】
「へ? まさか、イザークはもう…」
【ガモフを出撃してから、猛スピードで突っ込んで行きましたよ】
「ニコル…」

ニコルが通信に混ざる。元気そうな顔が見れて、私は少しホッとした。

【アルト、お前…俺にはそんな元気で良かった%Iな顔してくれなかったよな?】
「ディアッカは元気なの知ってるもん。反対に、沈んでたらキモイ」
【……あっそ】
【おしゃべりはそこまでだ、急ぐぞ!】

アスランが生真面目に通信に割り込んで指示を飛ばす。私たちはフォーメーションを整えて混戦状態のまっただ中へと入って行った。

「この弾幕は……弾の無駄遣い…」

そう思わせるほど、四方八方から飛び交う弾幕。そしてビームとウザイMAたち。
そんな乱戦状態の中、イザークを見つけた私は彼に通信を繋いで、機体を寄せる。

「ちょっとイザーク! 前に出過ぎだし、余計な…」
【うるさい!! 黙れジェニウス!! お前も撃ち落とすぞ!!】
「はぁぁぁ!? うわ! ちょ!!」

近付いた私の機体のスレスレ。左脇をイザークが放ったビームが貫いていく。
真後ろでは轟音と共に、地球軍の戦艦が破壊された。

【奴は……ストライクはどこだ!?】
「あ…」

そして機体を反転させて飛び去ってしまった。

「……ホント、要注意だよ……」
【当たってたろ?】

ディアッカが涼しい顔をして、遠距離から攻撃をする。また地球軍の戦艦をビームが貫いて、一つ沈んだ。
見ると、ニコルもアスランも一つずつ戦艦を沈めている。

「…何? 出遅れって私だけなわけ?」
【アルト! 無事でしたか!】
「うん。何もしてないし」

敵のMAたちはちょこちょこ撃ち落としてるけどね。

【足付きは、艦隊の最深部に居て、守られています。奴らを突破しないと取り付けませんよ】
【ちゃっちゃと終わらせねぇと、イザークが全部壊しちまうぜ】
「はぁ……なんか……よっと」

言葉の途中で、攻撃を受けた。それを軽くかわして相手を返り討ちにする。

「もぉ、いいや。乱戦状態だしね」
【そういう事】

こっちの作戦とか、フォーメーションとか全部意味がないほどの混戦具合に、私はため息しか出てこない。

【地球の引力も近いですから、気をつけましょう】

了承している間にも、ヴェサリウスは本体から主砲を発射して戦艦を撃ち落としてしまった。

「うっわ、ヴェサリウスにも先越されちゃったよ」

私は数だけはやたらと多い攻撃に、次々対処していく。その間に足付きはやっと動き出した…と思ったら、何だか動きが怪しい。

「え!? ちょっと……待って!! 足付きが降下しちゃってない!?」
【アークエンジェルが!】
【降りる!?】
【させるかよ!】
「ディアッカ! イザーク!!」

足付きが地球に降下していく様を見ていた私たちは、驚いた。それを受けて、イザークとディアッカが艦隊を突破する。敵の数が少なくなってきたので、機体の性能を生かした小回りを利かせているようだ。

【待て、イザーク!】
「アスラン、そっちお願い! イザークたちは私が!」
【アルト!】
【アルト! 待ってください……!】

アスランとニコルに艦隊を任せて、私はイザークたちを追った。


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(もう! どうしてイザークはいっつも、いっつも!)
(援護する身にもなれっての…)
(ディアッカは、いつものことでしょ?)
(…代わってやろうか?)
(絶対的に、拒否します)


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