第4章 砂漠の虎
23:「次の標的はストライクだね」
足付きが第八艦隊に合流するほんの短い時間。ガモフのメンバーは再び、攻撃を試みたらしい。
だが、それも短すぎる時間のためか、失敗してしまったと知らせを受けた。
それと同時に、イザークが負傷したという報告も。

「…アスラン、イザークの…」
【聞いたよ…】
「ストライクの……子……だよね」
【…ああ】

勢い良く追い詰めてはいたらしいが、ニコルの話によるとイザークはストライクに攻撃を受けてコックピットが損傷してしまったらしい。損傷した時の衝撃でバイザーのガラスが砕け散り、破片で顔をザックリ切ってしまった…とか。

「重傷じゃなくて良かった…と安心していいのか複雑だよね」
【…………】
「…あ、ディアッカだ」
【え?】

出撃準備のため、機体に搭乗して機動作業をしていると、ディアッカからの密かな入電があった。

「……うっそ。イザーク出るの!?」
【なんだって!?】

ディアッカからの入電は、一言。


イザークの奴が、手に負えない。怒り心頭状態で一緒に出るぜ。要注意


と書いてあった。

「要注意……か……」

ディアッカらしい一言だ。
どうやらヤマト少年はイザークの短すぎる導火線に火をつけてしまったらしい。いつかはこうなるのではないかと、少しだけだが思っていた。彼は人一倍プライドが高いから。

「あー…次の標的はストライクだね」
【……キラ……】

アカデミー時代、アスランに勝てないせいで、常に勝負を挑みまくって闘争心を剥き出しにしていたイザークだ。ストライクに傷を負わされて、彼のプライドはズタズタに刻まれてしまったのだろう。それに、イザークたちはストライクのパイロットがコーディネイターだという事を知らないから、ナチュラルに傷を負わされたと思った彼は相当頭にキているのかもしれない。

「……アスラン……今回、説得は無理だよ」
【…わかっている…】
「本当に? 私だって援護はできない。…ディアッカじゃないけど、イザークは絶対…」
【わかっている!】

(あらら。アスランが苛立ってる…珍しい。まぁ、無理もない…か、あんだけハッキリと決別宣言された後じゃね…)

「……次は私も容赦しない。覚えてて」

もう、ここまで来れば捕獲など甘い事は言っていられない。兄様だって見過ごせないと認定しているようだし。アレはもう、アスランの幼馴染みとして遠慮する範囲を越えてしまったのだから。

(…そう、捕獲してデータの吸い出しなんか期待してたら確実に死が待ち受けているだろうね…)

彼は戦闘を何回か重ねている。もうそろそろMSの扱いにも慣れてしまっているはずだ。彼はコーディネイターなのだから、甘い考えでいるとこちらが撃墜されてしまう。

「アルテミス・ヴァル・ジェニウス、行きます!」

そうして私たちはヴェサリウスから出撃した。


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(それにしても、怪我してんのに出撃しちゃうんだ…)
(イザークらしいといえば、そうだけど…ニコルの話だと、額から頬までザックリ斜めに傷が走っているらしい)
(うへぇ…痛そう…アドレナリン大放出でも、それは痛いよ…イザーク絶対マゾだね)
(…アルト…それは、イザークに言わないほうがいい)


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