特別章 NG集
9章66話 NG「あなた色に染まる」
◆【本編66話:ゲイツの回収、任せたよ!】より
発作で苦しむ兄様をヴェサリウスに運ぶためエクリプスに搭乗させたシーンから


私が走ってイザークの傍まで行くと、イザークはバツが悪そうに顔をそむける。
その動作を不思議に感じながらも、今は一刻を争う事態なので質問は後にする事にした。

「隊長機が損傷した。隊長も少なからず無事とは言いがたいから、とりあえずここは離脱する。状況もだいたいわかったし」
「なに!? 負傷したのか!?」
「今、詳しい話してる時間はない。すぐにここを離脱して、ヴェサリウスに帰還。その後、すぐに戦闘開始するからイザークはゲイツを回収してきて!」
「おい!」

そういうと私はイザークに背を向けて走り出した。

「隊長は私のエクリプスに乗せてくから!」

少しだけ振り返ってそう叫ぶと、今度こそ兄様の元へと私は全力で走ったのだった。
後ろではイザークが何か言っているけれど、もう私の頭には兄様の心配しか残っていない。
慌ててエクリプスのコックピットをのぞくと、兄様がぐったり………しているはずなのに、ぴんぴんしていた。その顔は新しい玩具を与えられた子供みたいに微笑んでいる。

「待っていたぞアーティ。さぁ、乗りなさい」
「いや……あの……兄様?」
「私が操縦しよう。なに、損傷させないから心配するな。ドライブ感覚で気軽に乗るといい」

(ああ、もう……誰かこのお子様止めて……)

「兄様」
「なんだね?」

私は心を鬼にして、兄様に突っ込みを入れることに決めた。
呆れた顔は隠せないから、もうそのままで兄様の顔を見つめる。

「……NGになるってわかってても乗りたいの?」
「カメラを切ったらどうだろう? 編集で合成すればよい」

(そこまでして乗りたいのか兄様!)

「そんな問題?」
「何も問題はないさ。さぁ、アーティ。宇宙の果てまでドライブするよ。行くだろう?」
「………行く」
「って、待てこらぁぁ!! 貴様ら二度目だぞ!!」

私が返事をすると同時に、イザークの怒り声が響き渡った。

(はっ!! 私はまたもや無意識に!? ……いや、もういいや! ここは……)

我に返った私は、またもや無意識に兄様の言葉に頷いたことに気がついた。
そしてエクリプスの足元で怒鳴っているイザークの顔を見ていると、怒りで顔を真っ赤にさせている。

「兄様……操縦席って三人乗っても落ちないよね」
「落ちないね」
「よし」

そうして私はニッコリと、ものすごく晴れやかな笑顔を作った。

「イザーク!!」
「なんだ!!」
「私と一緒に来て? お願いっ☆」
「なっ!!」
「それとも、私が嫌い?」
「なななななに、なにを!?」
「……嫌い……なの?」

ふっと涙を見せると(もちろん嘘泣きだ)イザークは目に見えて焦りだした。

「なっ、泣くな! 今すぐ行ってやるから!」
「ホント!? じゃあ、一緒に宇宙の果てまでランデブーしよっか!」
「ああ、待ってろ」

すばやく返答したイザークは、ひそかに微笑んでいて、ちょっと魅力的だった。

「ねっ、兄様、これでイザークも共犯だよ!」
「よくやったねアーティ」

そうしてイザークはエクリプスのコックピットに到着した。


CUT!

(って待て、そこのバカップルと馬鹿兄妹! 撮影無視か!)
(はっ!! 俺はなにを……!! って、ディアッカ貴様ぁ……馬鹿とはなんだ!!)
(ふふっ。これで立派にイザークも共犯者だね☆)
(ああ、ようやく我らのノリに染まったな。よくやったイザーク)
(は…はい! 隊長!)
(だから、間違ってることに気づけよイザーク!!)


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