特別章 NG集
9章65話 NG「実は寂しかったんです」
◆【本編65話:全ての人類を裁く権利がな!!】より
メンデルで兄様のターン。出生の秘密を大暴露中のシーンから


「何を知ったとて、何を手にしたとて変わらない! …最高だな『人』は……そして妬み、憎み、殺しあうのさ!ならば存分に殺しあうがいい! それが望みなら!」
「何を! 貴様ごときが偉そうに!!」

いい加減兄様の物語に付き合いきれなくなったのか、頭にキたムウが兄様に向けて激しい銃弾をあびせた。
だが、やはりムウは兄様に傷を付けることができない。その腕に怪我を負っているせいかもしれないが。

「ぐっ!!」

兄様が実験器具のひとつ、天井に取り付けられていたドでかい照明を狙撃して床に叩き落とした。
その衝撃で部屋の中が埃で真っ白になる。

「私にはあるのだよ! この宇宙でただ一人! 全ての人類を裁く権利がな!!」

その後、ムウの反論する声が上がる手はずなのだが、兄様が発言した後からシーンと静まりかえってしまった。

「おや、どうしたムウ? キラ・ヤマト。死んでしまったのかね? こんなことで!」

(おお、兄様さすが…不測の事態でもちゃんとお芝居つなげてる!!)

私は兄様の手腕に感動していた。カメラに映っていないことを利用してガシッと手を合わせ兄様に尊敬のまなざしを向ける。

「はっ! ならば好都合! 貴様らの願いはこれまでだな! はーっはっはっは!」

芝居を続けていた兄様だが、本当に相手から何の反応も帰ってこないので、少し顔が不思議そうな表情になってきた。

「おい、ムウ。ムウ・ラ・フラガ。さっきから私ばかりが話しているではないか。ちょっとぐらい反応してはどうだね。何か反論があるんじゃないのか?」

兄様が若干焦っている気配がする。声や言葉は落ち着いているが、気配が『えっ、なに、どうすんの俺!?』と、ライフカードを目の前に差し出された人みたいな感じがするのだ。
決して態度には出さないが。

「まったく…キラ・ヤマト。最強のコーディネイターであるキミまでも無反応か。私の夢を返しなさい」
「ぶふっ!」

なんとも真面目な顔をして何て事を言うのだろうか。思わず私は噴き出してしまった。

「アーティ。撮影は中止だ。どうやら二人は……伸びてしまっているようだよ」
「え」

私が必死に失笑をこらえていると、兄様がひょいとコントロールルームに顔をだした。

「伸びてる?」
「どうやら照明を落とした時にセットが多少崩れたらしい。頭をしたたかに打ち付けて二人とも伸びてしまった」
「あらー」

私は兄様の言うとおり二人の様子を覗き見たけれど、確かに二人の頭にたんこぶらしきものができている。

「……兄様、お芝居つづけようとしたのにねぇ」
「まったくだ。こんな不足な事態すら収束できなくてどうする」
「……なんか、耳がイタイ。ごめんなさい」

私が耳を押さえて謝ると、兄様はふっと優しげに微笑んだ。

「アーティは悪くないさ。さぁ、二人を起こそう。水を持ってきてくれ。……氷をいっぱい入れてな」
「マジで?」


CUT!

(兄様、なんか水道壊れてて水がないから、氷だけ持ってきた。二人の頭に当てる布を…)
(違うよアーティ。これはこうするものだ)
(ちょっ!! それ、余計に痛いよ! バケツいっぱいの氷ぶつけたら起きるのも起きないって!)
(いい薬だよ。頭も冷えるしね)
(いやいや! 間違ってる! 間違ってるよ兄様! 怒ってるのはわかったから許してあげてー!)


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