特別章 NG集
9章64話 NG「出番が待ちきれないR(仮)さん」
◆【本編64話:傲慢なんだよ…】より
アーティがヒビキ教授の研究室にたどり着いたシーンから



…『私たち』が、生まれた場所へと




「ぐっ……!」

途端に蘇る、小さな頃の断片的な記憶。
喉元をせり上がる吐き気が止まらない。加えて体中が震えだし、ガチャンと音を立てて銃を取り落としてしまった。
そして思わず両膝をついてヘタリこんでしまう。




『被験体KA01の状態は非常に良く…』
『素晴らしい! この子は神の…』
『比べて被験体KA02ときたら…いまだ…』





「あ……あぁ……!」




『クローンとはいえ、コーディネイターの…』
『まだだ! まだ保つだろう!』
『危険です! この状態を続ければ命の…』





「い…や……」




『君たちが、僕の…はじめまして、小さな…』
『アーティ、先に行って! ぼくがここを…』
『蒼き清浄なる世界の…』





「いや……」




『アーティ! アーティ! アーティ!!』
『死ねぇ!! 宇宙の化け物!!』









ずっと、一緒だよ? 大好きアーティ…ぼくの半身…








「いやぁぁぁぁぁぁああああ!」
「アーティ!!」
「!!」

私が悲痛な叫び声をあげていると、ふっと私の前がかげる。次の瞬間には人の温もりにつつまれていた。

懐かしい匂い。懐かしい感触。

「……もう大丈夫だ。怖がるな。俺が傍に居る。ずっと一緒だ」
「……レイ……!?」
「ああ、俺だ。泣くなアーティ」
「レイ……レイ!!」

突然の事に私は泣きながらレイに抱きつく。だが、次の瞬間、ん?と頭に疑問がよぎった。

(って、ちょっと待って……なんでここに…)

「レイ!? なんでここにキミがいるの!?」
「アーティが呼んだからだろう?」
「呼んでないよ!」
「いいや、声が聞こえた。……泣いている声がな」

そう言ってそっと私の目じりの涙をぬぐう。

「レイ…」

(って、そうじゃなくて!!)

「違うっ!! キミの出番はまだまだ先!! っていうか、運命からでしょ! 種じゃないでしょ!! なんで登場してんの!?」
「気にするな。俺は気にしない」
「気にしてぇ!! ネタバレにもほどがあるよ!!」


CUT!

(アーティばかり出番が多くないか? たまには幼少期の俺も回想に出してくれてもいいと思う。声だけじゃなくて)
(ズルイぞレイ! 俺だって出たいの我慢してたんだからなっ!)
(シンまで……もぉ、二人とも大人しくしててよ…)
(ラウの若いころとして俺を使うというのはどうだ?)
(俺もオーブ戦の時にちょい役でだしてもらおうかな…)
(って、ひそかに監督に打診しないの!! 下がれ二人とも!)


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