◆【本編57話:…キミは、私の…敵?】より
アスランを護送車へ連衡しようと軍本部から出てきたが、アスランの反撃にあい、追いかけっこをするシーンから。
「ちょっと…アスラン待って!!」
「もぉ!! 計画が台無しだ!」
私もアスランの後をすぐに追って走ると、私の後ろを一人の兵が他の兵を足止めする形で応戦していた。
だが、今はソレに気を取られている場合じゃない。私は先を走るアスランに大声で呼びかける。
「アスラン!!」
「アルト! わかってくれ!」
(わかって欲しかったら状況を説明しなよ!! わけわかんないじゃんかー!!)「あー!! もう!! 今は大人しく捕まっててよ!」
「無理だ!」
(親子そろって即答か!! 変なトコばっか似てるんだから…ホント!)
そして、ついに私の短い堪忍袋の尾が切れた。
「このバカラン・ザラー!!」
そう言って跳躍すると、両手を後ろ手に拘束されているアスランに向かって跳び蹴りをくらわせる。
「ぐっ!!」
その衝撃で彼は建物の陰に倒れ込み、私もすぐその後を追った。
「アスラン! 手を……って、アスラン!? アスラン!!」
アスランが呻きながら起き上がるシーンなのだが、彼はぴくりとも動かない。
「ちょっ、アスランってば!」
私はアスランを抱き起こして、彼の顔をぺちぺち叩く。
意識を完全に失ったアスランは、伸びていた。
「えっ、マジ……? ちょっ、アスラン!! 起きて!」
「何をやってるんですかアルテミスさん!?」
「ダコスタさぁん!! アスランが完全に伸びて起きません!!」
少ししてから私の背後に回り銃口を向ける…という流れだったので、ダコスタさんが現れたわけだが、完全に伸びたアスランを抱きかかえる私を見て、呆れた声をもらした。
私は半泣き状態で背後にいるダコスタさんを振り返る。
「はぁ……だめですね。完全に気を失ってる」
「そんなに強く蹴り倒したつもりはないんですけど…」
「アスランさんが起きるまで、次のシーンは収録できませんねぇ…休憩にしますか」
「うう……」
ダコスタさんが手で×印を作りカメラに向かってジェスチャーをして、このシーンは結局NGシーンとなってしまった。
CUT!
(おい、アルト……マジでアスラン伸びてんの?)
(ディアッカ! もぉ、完璧に気ぃ失ってんの!)
(あちゃー……頭でも打ったか?)
(わかんない…)
(仕方ねぇなぁ、とりあえず運ぶか)