◆【本編48話:今度は俺が部下にしてやる!】より
夕焼けのカーペンタリアで、アスランとイザークの友情握手シーンから。
右隣にはアスラン。正面にはイザーク。
夕焼けに染まる廊下には、私たち三人しか居なかった。そしてイザークは、ぽつぽつと話し出した。
「…俺もすぐそっちへ行ってやる。…貴様らなどが特務隊とはな…」
(あー…素直じゃない……最後まで素直じゃないよイザーク)ぷいっと顔を背けるイザークに、アスランは持っていた荷物を足下に置いて、右手を出す。
「ん……?」
「色々と……すまなかった……今までありがとう…」
その言葉に少しだけ悩んだイザークは、やっぱり静かにアスランの手を取って、握手をした。
(……ちょっ……!! 私、今、夢の中とか……? アスランとイザークが……いや、アスランは普通だろうけど……あのイザークが……!!!!)二人がかわした握手に、とんでもないような光景を目撃した気分だ。いや、気分というより、とんでもない光景を目にしたと断言できるだろう。
二人の握手は一瞬だったけれど、その一瞬に色々な思いが詰まっている事を私は知っているので、内心ではものすごく感動していた。
(…ホント、よかった。……ニコル…ディアッカ…ラスティ…キミたちにも見せてあげたいよ)この場に居ない同期に向かって心の中で呟く。
「うぉぉぉ!! マジでアスランとイザークが握手してるよぉぉぉ!!」
「よくやりましたね、アスラン! イザーク! 僕は嬉しいです!!」
「あのイザークがねぇ。やったじゃんアスラン。懐かれたな!」
ラスティが泣きながら叫びディアッカに抱きついていて、ニコルはハンカチを取り出して涙している。そしてディアッカはラスティを片手でぽんぽんしながら親指をぐっと立ててグッジョブサインをアスランに出していた。
「…キミらね……せめて感動するならカメラ回ってない時にしようよ…」
私が呆れた声で三人を眺めていると、隣の気温が1.5度ほど上昇していくのを感じた。
「き…さ…ま…らぁぁぁ………」
(あー……噴火するな……離れとこ)「俺をなんだと思ってるんだぁぁぁぁ!!」
私はそっとイザークから離れて、物陰に隠れる。そうして、そっと顔だけを出して呟いた。
「……珍獣?」
「アーティ!!」
「ほら、銀のカッパだし」
「泣かす!!」
CUT!
(アルトはイザークの事が本気で好きなのか…?)
(うん。愛してるよ?)
(なら、もうちょっと…こう、恋人らしく…)
(愛が溢れすぎて困ってるんだー)
(ゆ、歪んでる…)