◆【本編39話:へぇ……ロボット鳥だ】より
オーブに潜入した際、トリィが頭上から舞い降りてキラとアスランが出会うシーンから。
(……そうか……あのロボット鳥がトリィ=cアスランが大切な親友のためにつくった…)その持ち主が、ヤマト少年であるらしい。アスランの緊張した面もちからして間違いはない。
フェンスを挟んで段々と近づく二人だが、アスランの足は競歩並みに速かった。
(え、ちょっ…この気配は……)私はNGシーンの気配を感じてひくっと顔を引きつらせた。
「キラっ!! トリィの油さしサボったな!? 羽の関節が上手く作動しないから毎日忘れるなって言っただろう!?」
「だって油切れてたんだ! 大体地上でプラントの純正ペットロボ用高級オイルなんて売ってるわけないだろ!?」
「この前大量に送ったのに、もう切れたのか!?」
「こぼしちゃったんだよ! マードックさんにすごい怒られたし!」
フェンス越しにぎゃいぎゃい喧嘩する二人を見て、私は今度こそ頭を抱えた。
「…撮影シーンは無言で見つめ合って、小さく会話…だよね」
「…大声だな。こっちまで聞こえるくらいに」
そして私は隠し持っていた武器を取り出して安全装置を解除する。
「……殺るか」
「……同感」
「二人とも、駄目ですよ」
私とイザークが銃を構えるのを見て、ニコルは慌てて間に入る。
「止めないでニコル。ちょっと最近、あの二人のNG多すぎる」
「そうだ、一昨日なんか有り得ん。なんで間違えたスタジオで平然とカメラに映れるんだ」
「いえ、そうじゃありません。殺るなら、こっちの武器で」
そう言って差し出されたのは手榴弾。
「狙撃より、インパクトありますよ」
微笑んだニコルは、無邪気な顔をしていた。
CUT!
(待て!! 手榴弾は後片付けが大変だから却下! というか、狙撃も却下だ)
(うるさいな、ディアッカ……ちょっと飛んでて?)
(はっ!?)
(せーのっ)
(ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!)