三章開始、いろんなキャラが出てくる短編風仕様
12話:どんでん作った奴出て来いGJ!
第一階層の王子、と。
天剣のハルが呼ばれる理由は。
彼と、彼がギルドリーダーを務めるギルドが。
第一階層に残った非戦闘員のプレイヤーの衣食住を確保しているからだ。
一番最初からアイテム欄にあったコル(この世界の通貨の最小基本単位)は、九ヶ月経とうとしている今まで衣食住全て確保する程はなかった。
食い詰めた者たちは自然彼の元に募っていった。

「仕事しない者まで受け入れはしないけどな」

天剣のハルはそう言って、笑った。


警備隊、と呼ばれる彼のギルドはSAO最大人数だ。
非戦闘員から中堅プレイヤー、鍛冶職人、料理人、商人から果ては攻略組の三割まで収容しているからには相当である。
このSAOのプレイヤーの中で彼を知らないものなど居ないのではないだろうか。
その有名人が招待してくれた夕食は、彼手製らしい。
SAOにも料理スキルは存在する。
レベルに応じて上がるHPの最大値などとは違い、それは使う程にレベルが上がるスキルに分類されている。

「家庭料理の域は出ないが、遠慮なく食べてくれ」

そこらのNPCが営むレストランなど屑としか思えない料理の味。
食に興味の薄い大人(某Hと某A)もがっついて食べる程には美味かった。

「はるにーちゃんのご飯、おいしいだろー」

何故か俺の膝で食事するノボル少年は、得意げだ。
これだけ美味い食事にありつく為なら食材ハンターになってしまうのも頷ける、かもしれない。
俺の膝に居る理由だけはわからないが。

「ジョー君、これも食べろよ。美味いから」
「ふぐっ」

あと、何でもかんでも口に突っ込んでくる理由も。

「……ああ、美味い」
「だろー?SAO至上最強の料理なんだぜ!」
「ああ、そうだろうな。だがゆっくり食事させてくr」
「これもー」
「ふぐっ」

………俺の安寧の食事時間は、当分こなさそうだ。

「ピィ、ピィ!」
「なんだよ、お前も食うの?ほら」

ノボルは俺の肩から食事を催促するレアチャルにも同じように物を与えているからには、どうやら俺はレアチャルと同列らしかった。
俺は人間だ。

「は〜ぁ。お前、どうしてジョー君とこ行っちゃったよ……俺の使い魔になれば良かったのに」

全くだ。
俺は大きく頷いた。

「そういえば、ジョーの使い魔はレアチャイルドドラゴンか?」

ハルはそういってレアチャルに向かって手を伸ばした。
肩から飛び立ってその腕に留まったレアチャルは人なつっこすぎると思う。
と、いうか。
美人に弱い特性でも持っているのだろうか?
さっきはノボルの髪を噛んでいたし。
マーティとじゃれていた。
このギルドホームですれ違った細剣使い・【華裂のシィ】の美貌に惹かれてふらふらしていた。

「ピィ」
「俺も見るのは久しぶりだな」
「え!!?ハルさん、見たことあるんですか!」

ヒサさんの驚きの声。
俺も驚いたし、アルさんやマーティも驚いている。
SAOプレイヤーの中で、レアチャルは周知のレアモンスターだが、実際見たというのは情報提供者であるプレイヤー二人だと聞いている。

「まぁ、レアチャルの発見者は俺だから」

どんな幸運値がこの兄弟に振り分けられているのか。
思わず膝の上で食事を飲むように食べ続けるブラックホール胃のノボルを見下ろす。
本人は兄と同じく琥珀の瞳を瞬かせて、俺の口に食い物を突っ込んできた。
……別に催促した訳じゃない。

「じゃあジョーは、SAO初のレアチャル使いになるのか。また話題になるな」
「………不本意ながら」

娯楽の少ないSAOで、情報屋ギルドが発行する号外SAO新聞は5コルで手に入る貴重な娯楽かつ情報源だ。
どこそこのMobからレアアイテムがPOPする情報から、誰それがどんなクエストを発見。
誰それと誰それがどこそこでデュエルしてどちらが勝利した、など。
重要なものからスキャンダルまで。
本当の新聞のような仕様なのである。
数少ないビーストテイマー誕生(しかもレアモンスター使い)は、下手すれば号外の一面を飾ってしまう事態だ。
どうしても、避けたい。

「なんとかなりませんか」
「………だ、そうだが。どうする、コウ?」

苦笑したハルさんの後ろから、忍者屋敷のドンデンのような仕掛けから出てきたのは。
SAOで一番の情報屋・早耳のコウだ。
………このギルドホーム、怖すぎる。

「え〜困ったなぁ、もう手下に一面にするように指示だしちゃった☆」

軽いノリに若干苛っとしながら、「なんとかなりませんか」と再度言ってみた。

「……一面にはしないから、ちょこっとだけ、その時の話聞ける?」
「一番小さな欄にしてもらえるなら、喜んで」

俺が笑顔で付け加えると、「交渉上手さんめ〜」と苦笑しならがも応じてくれた。

「なんで!俺だったら絶対一面も二面も全部俺にしてもらうのに!」
「だよね〜ノボルいいこと言った!!」

………膝の方からの抗議は、聞こえなかったことにする。
あと、それに賛同した早耳のコウの言葉も。

俺は目立つのが好きじゃないんだ、放っておいてくれ。


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