小さな男の子

パーティー会場へは予定時刻よりも少し遅れて到着した
本来ならば始まる前に着く予定だったのに渋滞が酷く、裏道を使おうにも全く車が進まない状態でどうしようもなかったのだ


私としてはパーティーに遅れることよりもリボーンがイライラしていたのが怖かったけど
もうリボーンとの付き合いはそれなりに長いけれど怖いものは怖い






「終わったら呼べ、迎えをよこす」

「…リボーンもこないの?」

「悪ぃが今日はツナの方に行かなきゃなんねぇんだ
それに特に取引があるわけでもねぇパーティだ、もう何度も一人で行ってるだろ」





普通のパーティーなら一人で十分だけど

今日は鈴木財閥のパーティだからなあ…
次郎吉おじさんってばなんだか事件に巻き込まれることが多いんだもの
でも今日はリボーンも一緒だったら安心だって思ってたのに…




「行ってきます…」


渋々1人で会場へ向かい、入口前で立ち尽くす


予想外のアクシデント(事故による渋滞)によりパーティは既に始まってる時間

次郎吉おじさんなら何も気にせず笑って許してくれるだろうけど入りづらいことに変わりはない
けれど何時までも入口で渋っているわけにも行かないからひとつ深呼吸をしてから会場に足を踏み入れた

、とほぼ同時に見知った顔を見つけた。





「あーっ!結羅お姉様お久しぶりです!」




鈴木園子、この場の主催者である鈴木次郎吉の姪で小さい頃からよくパーティー会場などで顔を合わせることが多く
気がついたらお姉様と呼ばれるまでになっていた


小走りで近づいてくる園子をハグで受け止める




「久しぶり、元気にしてた?」

「はい、お姉様は相変わらずお綺麗で!」



「もー、園子急に走り出さないでよ」




園子、の名前に反応して振り返ると人をかき分けるようにしてとんがった髪がついた女の子とちいさな男の子がでてきた


すごく珍しい髪型だけど今流行ってるのかな?
しばらくイタリアに居たからか日本の流行りにはついていけないや

眼鏡をかけた小学生くらいの子は
蝶ネクタイをつけてかわいらしい正装をしてる賢そうな男の子



「初めまして、私は沢田結羅と申します。
よろしくね」

「あっ、初めまして毛利蘭です
ほら、コナン君も挨拶して」

「江戸川コナンです!」




あー、この子がよく聞く蘭ちゃんね
だとすればコナン君のほうはメガネのガキンチョ


それにしてもメガネのガキンチョ…江戸川コナンくんってすごく変わった名前…今流行りのキラキラネームやつだ

変わったお名前だねえ、なんて思っていれば考えが顔に出ていたのかお父さんがミステリー小説好きなの、と教えてくれた

なるほど、じゃあコナンっていうお名前はきっとコナン・ドイルからとったのね





「お姉様!いつもお話してる私の親友とそこの居候のメガネのガキンチョです」

「あ、やっぱりそう?よくから話を聞いてるの」

「ちょっと園子変なこと話してないでしょうね!?」

「ふふ、大丈夫
コナンくんが生意気だとかそういう話よ
蘭ちゃんと新一くんがラブラブってことも聞いてるけど」




ぱちん、とウインクしながら答えればみるみる顔を真っ赤に染め上げる蘭ちゃん




「やっぱり変なこと話してるじゃない!
違うんです、結羅さん、わたしと新一はそんな関係じゃありませんから!」

「そうなの?なあんだ」




でもそんな真っ赤な顔で否定されてもね?
まだ付き合ってはいないけど好きですって言ってるようなものだよ、かわいいなあ

でもそんな蘭ちゃんよりも視界の端で顔を赤らめるコナンくんが気になる
どうして関係の無いコナン君が?




「それにしても結羅さんってすごく綺麗…!スタイルだってすごいし…顔立ちもどこか日本人離れしてますよね」

「遠い昔に外国の血は入ってるみたいだけど父も母も日本人よ」



普段は髪色や瞳の色も相まってハーフか何かだと勘違いされることも多いけれど黒髪の今そんなことを言われるなんて思ってもみなかった。

視線を感じて下を見てみるとコナンくんがジーッと私を見つめていることに気がついてどうしたの?っと屈んで目線を合わせると可愛らしい笑顔を見せてくれる





「ねぇねぇ、お姉さんもお金持ちなの?」

「んー?どうして?」

「このパーティーすっごーく大きな宝石つけてる人ばっかりだからここに来る人はみんなお金持ちなのかなぁって!」

「ガキンチョ、よくぞ聞いてくれたわね実はお姉様はあのディッタ・ボンゴレの社長なのよ!」




たるで自慢をするように自信満々に胸を張って答えた

もう園子ったら…




「ええ!?ディッタ・ボンゴレ!?」

「社長って言っても凄いものじゃないよ、役職だけね」

「ボンゴレってなあに?」




ボクよくわからなぁい、と甘えた声で言うコナンくんに貿易会社だよ、貿易会社ってわかるかな?
と言えばコナンくんからはお姉さん凄いんだね!とニコニコ笑顔が帰ってきた



「そうよ、お姉様はすんごいんだから!」



ボンゴレファミリーはより多くの情報を掴むために表向きには"ディッタ・ボンゴレ"(直訳であさり会社ってダサい…)と名乗り貿易会社を始めた
実際に会社としても成功し、こちらもかなり有名になって裏社会でも表社会でも天下のボンゴレになりつつある。












「へぇ、蘭のお家は探偵事務所なのね」




早くも蘭呼びになった私は蘭の家が探偵事務所だということを知る

毛利探偵事務所って言う事務所で
最近では新聞や雑誌でも取り上げられて有名になりつつあるみたい




「眠りの小五郎って呼ばれてるんです」




眠りの小五郎とは、毛利探偵が眠気とともに鋭い推理力を発揮して瞬く間に事件を解決してしまうことからいつの間にか定着した呼び名、らしい

眠気とともに…なんて凄い!




「是非一度お目にかかりたいわ!」

「お姉様が見に行ったらおじ様絶っ対に調子にのるわ!」

「どうして?」

「実は父、女たらしというかなんというか…あはは…」




なんでも奥さんとは今は別居中で、
好みの異性を見つけてはカッコつけるのだとか
娘からすればそんな父親の姿を見るのはあまりいい気はしないよね…

私も想像してみるけどお父さんはお母さん命だからなあ
お母さんの前で格好をつけてるところは想像出来てもほかの女の人にデレデレしている所は想像出来ない




「うーん、それなら蘭のお父様の事は置いておいて
蘭やコナンくんとはもっと仲良くなりたいわ」

「それならぜひ家に遊びにいらしてください!」

「やった、コナンくんの好きそうなお菓子も買っていくね」

「わーい、嬉しいな!
ありがとう結羅お姉ちゃん!」




ぴょこぴょこ跳ね回って喜ぶ姿は子供そのものだけど
やっぱりなにか引っかかる物がある
何処がおかしいってわけじゃないんだけど…

このもやもやの正体は一体何なんだろう










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