淡々と大嫌いな書類整理をしていた最中
緊急会議をする、と早口で伝えられた
ああ、嫌な予感がする…。
と思いつつ会議室の扉を開けば
突然の収集にも関わらず恭弥と骸以外の幹部の姿があった。
そして伝えられたのはー…
「裏切りがあった?」
「はい、一週間ほど前から連絡が取れなくなっていたらしいのですが…」
それをもっと早く…いや、今更文句を言ったって意味が無いんだからやめよう。
ファミリーの裏切り
最近勢力を上げている組織に潜入捜査中だったファミリーの1人がボンゴレを裏切って同じくボンゴレから潜入していた仲間を組織に売った
おかげでボンゴレからのノックは全滅した挙句、仲間を売った男も殺されてしまったらしい。
裏切った彼は9代目がボスを退く直前に入ったファミリーだったはずだ
つい最近ボスに就任した若いツナのことをあまり良く思っていなかったとかなんとか、そんな話は聴いていたけどまさか裏切るだなんて…
「…どうする沢田」
了ちゃんからの問いに綱吉はひとつ深く呼吸をした
「亡くなったファミリーの御家族に連絡は?」
「まだ済んでいません。明日の朝の予定です」
仲間の裏切りによってあなたの家族が殺されました…なんて、そんな事当然あってはならなかった。
それなのに…
「もそうだが、潜入捜査はどうする?
新しいやつをいれるか?組織を放っておくわけにはいかない」
「…次は絶対に裏切らないと確信が得られる人間を…」
「だったら私が潜る、私に任せて」
全員の目が私をうつす
「駄目だ、つい最近大きな任務をおわらせたばかりだろ」
「それに、何年かかるもわからない任務に
かりんさんを行かせるわけにはいきません」
すぐに異論を唱えたのはツナと隼人。
まあ、そう言うとは思ってた
だけど反対なのは他も同じらしく、みんながみんな渋い顔をしてる中唯一リボーンだけが思案するような表情を見せていた。
「裏切らない絶対的確信があって、束ねなきゃいけない部下もいない
それに実力だってある、今までの人達よりもずっとね」
これ以上の適任はいないんじゃない?とリボーンと視線を絡ませる
…もうこれ以上ファミリーを犠牲にしたくない
それはみんなの総意でしょう?
「組織の主な拠点は日本、
俺達がすぐに駆けつけられる距離じゃないんだ」
「わかってる
私、守ってもらわなくちゃいけないほど弱くはないよ」
私だって天下のボンゴレ幹部として生きているんだから
大きな犯罪組織相手とはいえ簡単に殺される気もないし仮にもし殺されそうになったとしても逃げ切るスキルだってある…と思う。
それにリボーンやラルにねっちょり鍛えられた過去もある。
「ね、リボーン」
正直ボスであるツナよりもリボーンを納得されられればこっちのもんだと、リボーンに同意を求めれば
彼はしばらくの沈黙のあと口を開いた
「…それなら公安に所属しろ
彼処ならまだ俺の顔が利くからな、
公安から組織に潜入し俺たちの代わりにかりんが無茶しねぇように見張らせればいい
ついでに日本を取り締まってこい、社会見学だぞ」
公安って警視庁の?そんな所にまでコネクションがあるなんて流石リボーン…
そんな無茶なお願いができるのか、と疑問に思ったけれど彼らも組織を潰したいと考えているらしい
だから私がボンゴレから入った組織の情報を公安に渡し
公安はボンゴレの代わりに私のことを気にかける、とそれならばwin-winになるのか…なるの?
「駄目だ、かりんにはさせない」
「だが他に方法があるか?」
「、それは…」
ツナはどうしても行かせたくないみたいだけれど
誰かが行かなくちゃいけない
このまま放っておけばマフィア社会にまで食い込んできそうな危険な組織だから。
▽
私の潜入捜査が決まってから一週間ほどたったある日
リボーンが私の部屋を訪ねてきた
「これを持っていけ」
おもむろに黒い液体の入った小瓶をとりだして私の手の上に置く
揺らしてみれば液体はゆっくりと動き出して
…どろどろしてる…気持ち悪い。
「これなに?」
「飲めば髪と瞳の色が黒くなる特別な薬だぞ
1日1度の服用が絶対だが、めんどくせぇ分副作用はねぇ」
「…不味そう」
味の保証はしねぇがヴェルデの自信作だそうだ、と笑うリボーン
彼の事だから銃をぶっぱなしながらヴェルデに"お願い"したんだろう
普段のヴェルデは強気だけれど特にリボーンの"お願い"にはてんで弱いから脅されながら薬をつくる姿が目に浮かぶ
「お前の色は記憶に残りやすいからな」
潜入捜査中はこれを毎日飲め、と言うことらしい
これで目立たなくなるのであればありがたいね
「ありがとう、助かるよ」
薬は毎月届けさせるとだけ告げてリボーンは満足そうに出ていった