全身で、
スネイプ先輩に嫌われてると思ってたから、正直抱き締められたとき戸惑いよりも驚きの方が大きかった。見た感じ細いし、ひ弱そうなのに意外と力強くて驚いちゃった。
少しの間抱き締められた後、スネイプ先輩は気まずそうに謝りつつ私から離れた。
「Ms.谷川、この後なにか予定は?」
「デスクに仕事がたまっていますが…」
「それなら、ポッターに押し付けてきた。他に用事は?」
「たぶん、ないですが」
「ならば、我輩と食事でもいかがかな。」
「良いんですか?」
「もちろんだ。」
タクシーに乗り込み、連れてきてもらったのは世界中に名を馳せる超高級ホテルの最上階にあるレストランだった。
「先輩、こんな素晴らしいところ…」
「Ms.谷川、心配するな。ここのオーナーが我輩の後輩なのだ。」
「まぁ!
スネイプ先輩って顔が広いんですのね。」
「それほどでもない。」
他愛もない世間話をしていると時間が経つのは早く、既に食後の紅茶を頂いている。
「Ms.谷川、極上のスウィーツは如何かな?」
少し気恥ずかしそうな先輩が、見せてくれたお皿にはこのホテルのスウィートルームだった。
お酒のせいかハッキリとしない頭のなかで先輩の話が駆け巡る。
コクンと頷けば、きっと気持ち良いことになるのだと脳は告げている。心のどこかで鳴っている警報音はトイレにある音姫よりも小さい。
コクンと頷き、スネイプ先輩にエスコートされ立ち上がるとさらに酔いがまわり何が何やら。
気づけば、唇に温かいもの。そう、スネイプ先輩の唇だった。
「スネぇプ先ぱぃ、私…
今日が初めれ…」
「なんと…
もしかして、ルシウスが…」
「Mr.マルフォイは優しさだとおっしゃってナカには入れなかったの…
でも、痛いし苦いし良く分かんなかった…」
「すまぬ…
君の思い出が酷いものになってしまったら私の責任だ…」
「なら、スネぇプ先輩…
責任取って、私の思いれを上書きしてくらさい…」
「私で良いのだな?」
そこからの記憶は体の芯が痺れて、何故かアツくて…
良く分からなかった…
初めてなのに、ね。
「先輩、」
「菜緒、セブルスと呼んでくれ。」
「セブルス…
今日はありがとうございました。」
酔いはさめたのに事情後でハッキリしない頭で隣で眠るスネイプ先輩にお礼を言う。
「菜緒、私は…
いや、何でもない。」
「せんぱ…、セブルス。そんな途中でやめられると気になります。」
「菜緒、セックスの途中で私のことが好きだと言っていたが、本当か?」
「え、私そんなこと言ってたんですか…
因みに、セブルスは私のことをどう思ってるんですか?」
「あぁ、私か…
私はどうも一目君を見たときから君のことが、菜緒のことが好きだった。」
「っ!
私も、セブルスのことが好きでした。」
「過去形か?」
「あっ、今でも好きです、至極…。助けに来てくれたとき、幻を見たのかと思ったもの。」
「菜緒、交際順序がおかしいかもしれないが私と付き合ってくれないか?」
嬉しくて、嬉しくて、まるで夢みたいで、ほっぺをつねってみた。
痛かった、
あぁ、現実なんだ…
嬉し涙が次から次へと溢れて話すことが出来なくて。
コクコクと首を動かすとセブルスは思いっきり私を抱き締めた。
全身で、恋をした
「ねー、スネイプ先輩。どうして私には挨拶を返してくれなかったんですか?」
「君の笑顔を見ると、なぜか胸が高鳴って反応できなくなるんだ。」
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