★逆襲のブルーサファイア★

ハイウィンド邸の豪華な寝室で、カインとセシルは口付けを交わし合っていた。
ここのところ、セシルはカインを避けるようにしていた。
じつに1カ月ぶりにセシルと抱き合うことができ、カインは喜んでいた。
薄く目を明けると、セシルの閉じた瞼を彩る銀色の睫毛が震えているのが見える。
セシルの唇の中に舌を差し込むと、セシルもそれに自らの舌を絡めてきた。
「・・・ん・・・はぁん・・・」
唇を話すと、透明な糸が二人を繋いだ。
青いベルベットの天蓋がついたベッドの中、セシルが潤んだ瞳でカインを見上げている。
カインの手がセシルのブラウスのリボンを解く。
セシルもカインのタイを止めているピンを外した。
お互いの服を脱がして行く。
カインの少し日に焼けた肩が露わになる。
セシルはその鎖骨に口づけた。
縋りつくように覆いかぶさってくるセシルを制止し、カインはセシルを覆っているブラウスを脱がせた。
「・・・セシル・・・」
カインが驚いた顔をしてセシル見つめている。
「・・・?・・・ッ!」
とつぜん動きを止めてしまったカインを不思議そうに見つめたセシルだったが、すぐにその理由に気が付いた。
カインの目をくぎ付けにしているもの。
自分の胸を飾っているダイヤモンド。
「カインッ・・・!これは・・・」
王に孔を開けられてから、ずっと付けたままにしていたそれは、今では肌に馴染んでしまって、付けていることすら忘れていた。
セシルは手でそれを隠そうとする。
カインの瞳の中に怒りが沸き立っているのを見た。
「・・・陛下か・・・?」
俯いて涙を浮かべているセシルは少しの沈黙の後、頷いた。
カインは冷静さを取り戻し、ベッドの上に縮こまってしまったセシルの顔をこちらへ向けた。
そして、軽く口づけると、胸を覆っている手を外させた。
ダイヤモンドの輝きがカインを射る。
この1カ月、セシルが自分の誘いを辞退していた理由はこれだったのか、とカインは思っていた。
陛下のセシルに対する執着心に憎悪を抱いた。
セシルは陛下の望みを断るわけにはいかない。だからと言って、この仕打ちは・・・!
しかし、胸にダイヤを飾っているセシルはあまりにも扇情的に見えた。
王に針を宛がわれ、悶えるセシルを想像し、不謹慎にも欲情してしまった。
カインの指が乳首に触れる。
「や、カイン・・・あ、あぁ・・・」
少し険のある瞳に射竦められながら、そこを愛撫され、セシルは喘いだ。
王が居る限り、セシルはカインに操立てすることができない。
それは双方の了解でもあった。
しかし、セシルは自分の失態に酷く打ちひしがれていた。
王との営みをカインの前に晒してしまうことが辛かった。

カインの舌がそこをなぞる。
王にされた時と同じ、焼けつくような快楽が体中に広がる。
「はぁあ、あん・・あ・・あ・・」
後ろめたさと快楽の板挟みにあって、セシルは涙を流しながら悶えた。
カインの指がピアスを捕え、軽く引っ張り上げる。
「い、や、、あぁ、ああ!」
セシルが達する。
目尻から涙をこぼし、息を弾ませるセシル。
「こんなに敏感になって」
「・・・ごめっ・・んぅ・・・」
謝ろうとするセシルの唇を封じる。
「お前を責めているわけじゃない」
カインの手がセシルの手と合わさる。
二人は手をつなぎ合わせた。
「ん・・・んん・・・」
セシルをなだめるように、長く口づける。
カインの手がセシルの下肢に移動する。
すっかり高められたセシルの体はカインの指を受け入れる。
2本の指が労わるように体を這いまわる。
セシルは気恥ずかしさから、早急に貫いて欲しいと思っていた。
緩慢な快楽が、自分の状態を一々把握させる。
カインの指が善い所に触れては、離れる。
決定的な快楽をわざと与えられない。
「もう・・・入れて・・・カイン・・・」
3本の指にゆっくりと掻き回されながら、セシルがカインに許しを乞うように強請る。
怯えた小動物のような瞳に見つめられると、カインはフッと笑みを浮かべて自身を宛がった。
ようやく与えられたそれ。
「ん、あ・・・」
中に入ってくる。
「はあ・・・あぁ・・・あん・・・」
律動が開始される。
カインの動きに合わせて、セシルの腰を回す。
「あ、んあ・・・は、あ・・ん、あ」
徐々に動きが速くなる。
身悶えるセシル。
セシルが顎を反らせ、上体を仰け反らせる度に、赤く色づいた乳首に目が行ってしまう。
セシルの体が揺さぶられる度に、ダイヤモンドの光がキラキラと主張した。
カインの手が無意識にセシルの乳首を捕える。
「・・ッ、や、カイン、また、あぁ、あ、あッ、ん」
後ろを擦られながら、乳首を転がされ、セシルは悲鳴のような喘ぎを上げた。
「んぅ、やめ、て、カインッ・・やあ・・あ・・だめ・・」
ピアスごと揉みこむように、胸を愛撫され、セシルは半狂乱になって制止を求める。
「あ、あ・・・あ・・・は・・・ッ!!」
セシルの中が激しく痙攣する。焦点の合わなくなってしまった目。
カインが止めの一突きをすると同時に、乳首をつまみ上げると、セシルは体を大きく弾ませながら達した。
快楽に制御できなくなった体がシーツに沈みこむ。
薄く唇を開いたその恍惚の表情は笑みを浮かべているように見える。
目尻からまた一筋、涙を流すと、セシルは意識を失った。
カインはセシルから自身を引き抜いた。
どろどろになってしまったセシルの下肢を拭う。
青白い顔で倒れ込んだセシルを見つめ、王が施した胸の飾りへ再び視線を落とした。
王に何か復讐してやりたい。
陛下は、俺がこのピアスに気が付くことを知っているのだろう。
そう思うと王が憎かった。
その時、カインの頭には恐ろしい企みが閃いた。
カインはセシルが外した自分のピンを拾い上げる。
そして、セシルのピアスを片方外すと、手に持ったピンをそこに通した。
黄金の針の先にブルーサファイアが煌めくピン。
カインの瞳と同じ色のサファイアを、胸に飾る。
濃い深海の青は、セシルの色付いた赤い飾りに映えた。
カインはそこに口づけを落とすと、セシルをシーツでくるんだ。

次の日の朝、少し遅く目覚めたセシルにブラウスを着せると、邸から送り出した。
今日の夜はきっと陛下の寝室へ行くに違いない。
セシルの体を検めた陛下は、あのピンを見る。
カインは邪悪な笑みを浮かべると、邸へ戻った。

★☆★☆
この後、怒り狂ったバロン王がめくるめくSMプレイを展開します。

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